出版社内容情報
13歳の若さで「ちばてつや賞」を受賞し漫画家としてデビューするも、ほどなく精神科病院に入院……
病院から通う学校生活、農作業に盆踊り、ボクシング部入部、デイケアで輪投げの日々、元カレの逮捕・出所・プレハブ暮らし、新しい診断、脱腸、恩師との再会……著者・道草晴子が歩んできた15年以上にわたる途方もない“人生の道草”と、再び絵筆を執るまでの涙と笑い、そして再生の記録。
「トーチweb」での連載時から、漫画、文学、音楽、現代美術、音楽、医療、福祉、教育の分野でも大きな反響を呼び、多くの現役クリエーターが注目する、ノンフィクション漫画の最前線!!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
菊地姫奈そっくりおじさん・寺
87
なかなかすごい漫画だった。中学生で精神病を発病した著者の自伝である。途中何度も泣きたくなった。ギャグ漫画風の雑な絵柄だが、著者の優しい人柄がわかる。こんな優しい魂が、若い身空で何度も絶望させられなければならないのだ。しかし堕ちて堕ちて堕ちてようやく笑顔を取り戻す過程は、安吾の堕落論をリアルに見たようである。ラスト、学童の子供に「はることいっしょにディズニーランドに行きたい」と抱き締められる姿はとうとう泣いてしまった。生きていれば必ずいい日があって、天使が本当に降りてきてくれる日がある。生きよう。生きよう。2018/08/30
かおりんご
46
漫画。発達障害をこじらせて、統合失調症と誤診された作者の半生を漫画化したもの。読んでいて色々と苦しくなりました。社会がどうやって発達障害の人たちと関わっていくのか、どうサポートしていくのか、学校ができることはなにかとか。それにしても、薬漬けは恐ろしい・・・2016/01/25
くさてる
29
ウェブの連載でずっと読んでいました。今回、書籍にまとまった形で読めて、本当に良かった。自分の病に翻弄され、障害というレッテルに苦しみながらもなんとか生きていくことが出来た晴子さんの作品が、同じ立場にあるひとの元に届きやすくなったと思う。凄い内容だけど、これは、病があるから描けたという作品ではなく、病にも奪われることがなかった描くという才能が産んだ作品だと思う。これからもどんなものでも描いていってほしい。それを読ませて欲しい。2015/11/09
タマキマタ
22
webのトーチで読んだけど手元に置いておきたくて購入。本としてまとめて読むとまた圧巻。一見読みづらく感じる絵柄も文字も読み始めればすんなり入り込める。欄外の書き文字も効いている。このマンガはまさに「紙に熱情を叩きつける」という表現がぴったり。自らに起こった事を、さめて見ているようで、諦めているようで、でも本当は、魂が熱く気高くグラグラとたぎっている。年齢は関係ないというけれど、それでも彼女はまだまだ若い。彼女が周りに対して「しあわせになってくれとねがう」のと同じように、私もまた彼女にそうねがいます。2015/10/17
G
15
「すべての人がどこか欠けていておかしいのだ」 こんな当たり前の言葉に涙してしまう。 13歳にしてちばてつや賞を受賞しながら、統合失調症と誤診され精神病院に入退院を繰り返し、それでも懸命に生きていく姿。凄まじい人生を歩んだ道草先生だからこそ重みのある言葉に聞こえる。素直に傷付き、素直に喜ぶ。そこには優しささえ感じる温かみがある。 それにしても誤診の話は壮絶だ。こんな状況で苦しんでいる人がいると思うと、怒りとやるせなさしか残らない。 希望を捨てることなんか出来るはずもない。そう教えてくれる1冊だ。2015/12/10