内容説明
玄関の外から「助けて~」という声が聞こえてくる。開けようとすると「開けちゃいけない」という声が心の中に響いてくる…『風の音が誘う声』。友達がサムライに襲われる『釣人を襲う鎧武者』など、稲川淳二のホラーワールド。
目次
真冬のホテルで宴会をする幽霊
トンネルで死者の霊と出会った
死を宣告に来る子供
惨殺された落人のたたり
霊は復讐する
風の音が誘う声
さまよう人形
フィルムに映った恐怖
釣人を襲う鎧武者
とりついた家〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
118
稲川淳二さんの語りの怖い話集は稲川さんにしか出せない味と怪談プロフェッショナルの持って生まれた才能を感じますね。やはり稲川さんご自身が霊を呼び寄せるお得(?)な体質なのでしょうね。まあ迷惑半分ですが飯の種にもなっていますから資格の一種みたいなもので幸運の部類に入ると思いますよね。踏切に立って列車が来る寸前に女の子を押してる女が黒っぽい影で写真に写っている話。死んだ双子の姉が妹より先に好みの男に取り憑く話。深夜に橋の下のロケ現場に来た見学者達がみんな洪水で亡くなられた幽霊だった話。中古車の後を追う生首の話。2020/03/12
chatnoir
13
稲川さんの初期の怪談本。オーソドックスで分かりやすいけど、話し言葉をそのまま文章にしているので、文章と耳から聞いているかのような錯覚をする。先輩の窓辺に来る鳩や病院を改修したホテルの話が怖いかなぁ。北海道の話も一件入ってた。2018/05/26
rkondo_001
4
かなり古い本ですし、内容自体は何か際立って目新しい物語がある訳でもありません。それなのに読んでいて次々ページを捲ってしまうこの面白さは、やはり稲川さんの語りの力があるからでしょうか。実を言うと、僕は稲川さんの怪談トークをほとんど聞いた事が無いのです。それなのに(語りがそのまま書き下されているのも一因でしょうが)読んでいると、脳裏にあの暗いステージで椅子に腰掛け身振りを交えて語る稲川さんの声姿がありありと浮かんでくるのです。第一人者だけあって、あの語り口調自体がひとつのミームと化しているのかもしれませんね。2020/08/25
bibi‐nyan
0
平成7年の本。フィルムに映った子供の話や、さかさまの生首が追ってくる話、先輩の鳩の話など、定番の名作や他の怪談著述者の人も書いている話が載ってて、どことなくプロトタイプみがあります。まだこなれていない感じが怖い。 稲川さん本人の体験談や、周囲の知人の体験談が多いようで、そこもまた怖い。 インタビュー方式もまだ書き慣れていない感じで、話が唐突に始まったりします。2023/05/26