内容説明
本書は、グレン・グールドの私的な文書を独占的に利用することを許された、「公認」の伝記である。初公開の資料を多数利用するばかりでなく、関係者への独自のインタヴュー、リアルタイムの各種資料を駆使し、矛盾した要素をはらむ現実の人間の姿をそのまま記述する。
目次
遺産
神童
ゴルトベルク変奏曲
ヴィルトゥオーゾ・オン・ツアー
引退
新しい生活
古典派のレコード
作曲家
〈北の理念〉
テレビスター
ロマン派のレコード
映画
指揮者
私生活
最期
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えろこ
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本書を読むに当たり、グールド演奏の「ゴールドベルク変奏曲」を聴きました。「すごい」とは思いませんでしたが、お行儀のよい、規則正しい、気取っていない印象を感じました。で、本書。私には、グールドは典型的な天才肌に感じられ、正直、あまり好感を持てませんでした。とはいえこのボリューム、内容的にも物理的にも(笑)とても重たい本でした。読後は彼が旧友のように感じられます2013/11/22
pippi
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クラシック音楽の窓口ではなく、文学の窓口から出会ったグレン・グールド。彼のバッハが他のピアニストとどのように違うか私には逆さになっても分かりはしない。だが何故か惹かれる。いったい何故か。その思いに光を掲げてくれた本書。孤独者の幸せ。隠遁文学方丈記への共鳴と繋がる糸がみえた。ラジオ・ドキュメンタリー〈北の理念〉。ものが白に覆われ周囲への視覚が取りあげられたときの内部から外からの区別が曖昧になったとき、聴覚は自己の大地と空とにとけだした音を聴くのだろうか。2012/11/11