内容説明
解剖図譜は16世紀イタリアのヴェサリウスをもって嚆矢とする。筋肉男や骸骨男が町を背景にポーズをとる図像は、オランダのアルビヌスに受け継がれ、歩く死体=ゾンビが初期解剖図譜のパターンとなった。次に、同じくオランダのダコティが彩色をほどこしたエロティシズム溢れる生体解剖図を制作したが、これら西洋の美学と、江戸期『三之助解剖図』に見られる解体作業にも似た生々しさとを、比較鑑賞されたい。
目次
第2の『解体新書』をめざして―解剖図譜を見る目とその焦点
第1部 彩色解剖図譜の驚異(理想の死体が演じるストリップショー―アルビヌス『人体筋骨構造図譜』;初の色刷り解剖図―ル・ブロン『腸の解剖図』;解剖学的エロティシズムの極致―ゴーティエ・ダコティ『人体構造解剖図集』1759ほか;幻想画に変じた医学図譜―グランヴィル『流産と婦人病』;バロックの奇怪な骨格解剖図譜―マイヤー『陸海川動物細密骨格図譜』;卵の中の大宇宙―ボードリモン『胎児および鳥類・両生類の胚発育に関する生理解剖学』;機械的感覚の横溢―リザーズ『解剖図誌』;苦悶の表情をうかべる解剖モデル―オルターリ『人間の内臓解剖図譜』;手彩色石版によるやさしい解剖図―リヒテル『解剖学雑誌』;病変器官のファンタスティック・ワールド―クルヴェイラー『病理解剖学』)
第2部 諧謔と鮮烈の江戸腑分け図(吊るし切りによる人体の解体作業―『三之助解剖図』;芸用解剖図の嚆矢―河鍋暁斎『暁斎画談』;酒飲みの五臓六腑探訪―『飲食養生鑑』;花魁の体内遊覧―『房事養生鑑』)
第3部 幻想の18世紀解剖図譜(ゾンビとして跳梁する解剖人間―カスパー『新筋肉裁断術』;臓器博物館の名作展示物―ロイス『人骨の盆景』;18世紀解剖学教室の情景―ホガース『解剖学教室』;幼児解剖の名作図譜―フォン・ハラー『解剖図集』;科学精神の下僕へと降下した医学図譜―スカルパ『ヘルニヤ治療法』)
感想・レビュー
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