内容説明
レーモン・ルーセルの作品は、今日では、現代芸術を解く一つの鍵となっている。大胆な言語実験、枠組みと仕組みの方法、比類のない空想譚、冒険と科学と哲学とが渾然となったドラマ…。しかし疑いもなく、その作品を解く鍵は彼の人生の中にあるのだ。レーモン・ルーセルの創作の秘密。
目次
第1章 完全な幸福
第2章 アフリカの印象
第3章 ロクス・ソルス
第4章 額の星 無数の太陽
第5章 新アフリカの印象
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dilettante_k
1
「子供の英雄」ーレーモン・ルーセル19歳の折の作品への、プルーストによる皮肉めいた評である。この執筆時に体験した強度の「栄光感覚」と、かけ離れた作品の失敗。以降作家は再びあの感覚に到達すべく、現実との引き裂かれに懊悩しつつ、極めて珍妙な、だが無二の作品群を産出し続けていく。 著者による広範なインタビュー、膨大な書簡、そして著作・文献の検証による成果は、この謎めいた作家の実像を露わにしながらも、また新たな謎なかに読者を引き込んで行く。「使い方のわからぬ幻想的な機械」(ブルトン)の秘密に迫った労作。2013/03/18