出版社内容情報
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
108
超能力や超古代文明などオカルト話は少年漫画誌の巻頭特集で取り上げられていたが、漫画では『三つ目がとおる』が先駆作ではないか。写楽保介と和登サンの活躍を通して様々なオカルト知識が少年たちの間で広まり、もっと知りたいとの願いを受けて雑誌「ムー」が創刊されたのだから。改めて読むと手塚一流の奇想と、いじめや暴力など現代にも通じる問題意識が満載な作品だろう。ブラッシュアップを重ね、気に入らない作品は削除して質を高める努力を怠らないからこそ、手塚は漫画の神様と呼ばれたのだ。そんな苦闘の痕を追う意味で必読の書といえる。2025/01/13
ムーミン2号
8
「三つ目がとおる」は登場人物の魅力と、古代文明などをフィクションで描く作品の面白さが際立った作品だった。本書は連載時と単行本との差異を示す立東舎の2冊目のもの(1冊目は『ブラック・ジャック』)で、ここに掲載されたものの改変はそれほど大きくはないように思う。「文福登場」が読めるのは僥倖。スター・システムで三つ目くんが『ブラック・ジャック』や『ブッダ』に出演しているのは知っていたけど、改めて読んでみて『ブッダ』の熱量の高さに心奪われる思いだった。100ページ以上の資料は充実しているのだろうと思う。2024/08/18
コリエル
7
雑誌掲載時と単行本収録時の違いを比較することが出来るという好企画だが、スターシステムで写楽がブラックジャックやブッダに登場した時のエピソードも収録してページ数を取られている。せっかくなのだからもう1話か2話ぐらい本編の比較掲載をやってほしかったな。手塚治虫直筆のアニメ用シナリオ原稿などレアな資料が数多く収録されてて他は不満は無い。2024/07/11
KDS
4
「三つ目がとおる」は短編よりも長編のシリーズの方が多いので、本作には一話まるごと収録できるものが少なかったのだろう。「ブラック・ジャック」や「ブッダ」などから、写楽保介がゲスト出演している箇所の抜粋が収められている。長編にもかなり手が加えられているはずなので、そこらへんの比較を入れてくれた方がありがたかった。本書を買って読む読者には「三つ目がとおる」を未読の者などほぼいないのだから。それにしても私の読んだKCスペシャル版全八巻の七巻のラストに入ってた「スマッシュにさよなら」が最終回だったとは知らなかった。2024/07/13
flatscan
2
これは良書。版も大きいし、内容も盛沢山。手塚治虫の作業の様子が垣間見れる資料も沢山。何このキャラ?って思ったら、単行本時に大きく変更された”連載時のみの話”だったり。同じ画なのに連載時と単行本時で全然違う話になってたり(流石とは思うが手塚治虫のスキルの高さよ)写楽の没案も。なぜ今のデザイン(坊主頭)になったのかを知りたいところだが、いや、他のデザイン没にして良かった。全エピソードを整理した表は非常に役立つ。どのシリーズにどのエピソードが含まれているか/いないかが分かる。三つ目がとおるファンならマスト。2024/12/02