出版社内容情報
人気シリーズ「乙女の本棚」第32弾は、文豪・夢野久作×イラストレーター・ねこ助のコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
内容説明
「水が濁るとよくないことがある」。そんな言い伝えのある湖のそばに住むルルとミミは、鐘造りの父が身を投げてから、二人きりで暮らしていた。夢野久作の名作が、書籍の装画、ゲーム、CDジャケットなどで美麗な人や獣を描き本シリーズでは堀辰雄『鼠』太宰治『魚服記』中島敦『山月記』新美南吉『赤とんぼ』を担当するイラストレーター・ねこ助によって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第32弾が登場。小説としても画集としても楽しめる魅惑の1冊。
著者等紹介
夢野久作[ユメノキュウサク]
明治22年(1889年)福岡県生まれ。慶應義塾大学中退。様々な職業を転々としたあと、37歳のときに「あやかしの鼓」を発表
ねこ助[ネコスケ]
鳥取県出身のイラストレーター。書籍の装画、ゲーム、CDジャケットなどのイラストを手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寂しがり屋の狼さん
64
『乙女の本棚』シリーズ31冊目📚夢野久作さんは『死後の恋』『瓶詰地獄』に続き3作目、押絵は同シリーズで「魚服記」「山月記」「赤とんぼ」などを手掛けた、ねこ助さん(◕ᴗ◕✿)幼い兄弟の刹那くて、優しい愛の物語。2023/11/07
なつきネコ@小学校に入学した化け猫
42
なにげに夢野久作を読んだことないな。 耽美な作品のイメージはあったが、こんな感じなのか。文章も耽美で美しい。かわいそうな兄弟。死に別れて泉の底に沈む兄。一人残され悲しむ妹。ルルとミミという2人の兄弟愛は深い。泉の底の国、鳴らない鐘、美しい水死体のあたりに西洋的な耽美さを感じる。特に美しい水死体は西洋絵画でもよく使われる解題。美しい兄弟の悲しい死だけど、ルルの泉の国への哀愁や、ミミの兄への想い。女王様の願いを見るに。この最後がこの兄弟最後の落としどころなのかなと思った。しかし、ねこ助さんのイラストも美しい。2024/10/13
優希
40
救いのない物語ですが、儚くも美しく感じました。久作は兄妹に特別な想いがあるのでしょうか。2023/11/05
ちえ
33
絵が夢野久作の書いた物語にマッチしていて幻想的で美しい。話の内容もとても好み。これは…二人は幸せになったということだよね、とラスト悩む。こういうのをメリーバッドエンドというらしい。2023/12/29
ぐうぐう
30
童話とは、時に残酷さをむき出しにする。鳴らない鐘を作った自分を許せず、湖に身を投げた父の代わりに鐘を作ることになったルル。しかしルルの作った鐘も音を響かせることなく、父と同じようにルルも湖に消えてしまう。残された妹のミミは、兄に会いたい想いを湖で咲く睡蓮に願う。ここで描かれる湖の世界は、あの世であり、夢であり、理想の世界でもある。そこから眺める現実世界は、実に殺風景に映るものだ。兄妹の決断は、現実世界から見れば悲劇だが、二人にとってはハッピーエンドに他ならない。(つづく)2023/06/27
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