出版社内容情報
人気シリーズ「乙女の本棚」第31弾は、文豪・森鴎外×イラストレーター・げみのコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
内容説明
罪人を乗せる高瀬舟の上。弟を殺した喜助の護送を命じられた庄兵衛は、その不思議な様子に興味を持ち、彼に話しかけた。森〓外の名作が、書籍の装画やCDジャケットなどで活躍し、幅広い世代から支持を得ているイラストレーター・げみによって、鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第31弾が登場。小説としても画集としても楽しめる魅惑の1冊。
著者等紹介
森〓外[モリオウガイ]
文久2年(1862年)島根県生まれ。小説家。東京大学医学部卒業後、陸軍軍医となり、留学生としてドイツに4年間滞在した。帰国後『舞姫』などを発表し、小説家としても活動をはじめる。またゲーテ『ファウスト』などの翻訳も行った
げみ[ゲミ]
平成元年(1989年)兵庫県三田市出身。京都造形芸術大学美術工芸学科日本画コース卒業後、イラストレーターとして作家活動を開始(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MI
104
高瀬舟、それは罪人を乗せて京都から大阪に流される舟。弟殺しの罪に問われた喜助とその護送にあたった庄兵衛。喜助の心持ちに不審に思い、庄兵衛は彼に話しかけた。彼の身の上に胸が苦しくなったが、同時に喜助と庄兵衛をわけた隔たりとは考えると深いなと思った。このシリーズまた他の名作も読んでみたい。2024/03/12
☆よいこ
92
乙女の本棚シリーズ▽朧月夜に罪人を運ぶ高瀬舟。同心の羽田庄兵衛(はねだしょうべえ)は、弟殺しで島流しになった喜助(きすけ)が明るい顔をしているのが気になった。「喜助。お前何をおもっているのか」喜助は今までは暮し向きがとても苦しくて居場所が無かったが、島流しになったことで「自分がいていい場所」を得られたことを喜んでいた。弟殺しの詳細についても語る。病を苦に自殺しようと喉を切り裂いた弟が死にきれず苦しみ、喜助が喉の剃刀を抜いたこと。庄兵衛はその話を聞き思案する▽音読30分。弟殺し場面がグロくてつらすぎた。2023/07/01
美紀ちゃん
86
名作!罪人を島に送る船で、どの罪人も重たい表情なのに対して、この喜助はとても爽やかな顔をしている。不思議に思い、お役人様が喜助に話しかける。どういう事情なのか?と。弟は自殺しようと、クビに剃刀を当てていた。それを助けた兄。兄を思う弟と、弟思いの兄。これは犯罪なのであろうか?同心のお役人様(庄兵衛)も、悩む。 でも清々しい顔をしている喜助。 庄兵衛には、 空を仰いでいる喜助の頭から毫光がさしているように思えた。 とても印象深い話。げみさんのイラストがとても素敵。このシリーズ好き。2023/06/26
寂しがり屋の狼さん
65
『乙女の本棚』シリーズ30冊目📚(◕ᴗ◕✿)森鷗外は初読み、挿絵は同シリーズでおなじみ「げみ」さん。「次第に更けていく朧夜に、沈黙の人二人を乗せた高瀬舟は、黒い水の面をすべって行った。」罪人を乗せる高瀬舟の上。弟を殺した喜助の護送を命じられた庄兵衛は、その不思議な様子に興味を持ち、彼に話しかけた…2023/11/07
ぐうぐう
47
朧夜に高瀬川をゆく小舟。罪人を乗せ、同心が大阪へ連れていく。同心の庄兵衛は、弟殺しの罪人・喜助がこれまでの罪人とは違い、晴れやかな表情をしていることに疑問を抱き、思わず喜助に事情を訊いてしまう。そこで語られる喜助の心情、そして弟殺しの真相が庄兵衛の心を揺らす。森鴎外の「高瀬舟」は、江戸時代の話であり、大正に発表されたというのに、とても現代的な主題を描いている。喜助の半生を聞き、庄兵衛が自らの半生と比べてみる場面を、(つづく)2023/05/26