内容説明
作家である佳子に届いた1通の手紙。「奥様」と始まるその文章には、ある椅子職人の生活が綴られていた。江戸川乱歩の『人間椅子』が、有名ゲームのキャラクターデザインなどで知られる大人気イラストレーター、ホノジロトヲジによって鮮やかに現代リミックス。人気シリーズ「乙女の本棚」の第18弾が登場。全イラスト描き下ろし。小説としても画集としても楽しめる魅惑の1冊。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
明治27年(1894年)三重県生まれ。早稲田大学卒業。雑誌編集、新聞記者などを経て、1923年「二銭銅貨」でデビュー。明智小五郎を主人公とする探偵小説など、数多くの作品を執筆
ホノジロトヲジ[ホノジロトオジ]
2015年よりフリーのイラストレーターとして活動中。キャラクターデザイン、イラストなどを手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
寂しがり屋の狼さん
111
乙女本棚シリーズ15冊目📚️江戸川乱歩は『押絵と旅する男』に続き2冊目。挿し絵は同シリーズではお馴染みの「ホノジロトヲジ」さん(*^^*)変わらず、このシリーズは良いですね✨何時も新刊を置いてくれる図書館に感謝です(*^-^*)2021/02/27
アキ
90
江戸川乱歩の有名な短編。「乙女の本棚」シリーズは、イラストと物語とのコラボが白眉だが、この作品は醜い男が椅子の中にいた話であり、その悍ましさは美しいホノジロトヲジの挿画ではあまり感じられなかった。ただ美しい閨秀作家の佳子が未知の人々からの手紙を読む際のイラストと、異国の乙女がクネクネと椅子の上で薄いなめし革ひとえ隔て密着していた姿態と椅子の中の男とを表したイラストは美しく見とれてしまいます。2021/05/04
美紀ちゃん
81
気持ち悪い。 怖いし、 ラストはずるい!2021/03/27
J D
80
物語にすっかり引き込まれ、窓の外を覗きたくなった瞬間に二通目の手紙が届く。やられた。そういうオチなんだ。これは、面白かった。なんだかキモいなぁーとゾワゾワしているところでこれか!これって信じていいんだよねと確認したくなった。画よりも作品の読ませる力が強すぎて、画を楽しむ余裕はなかった。次は、文字だけの「人間椅子」を読んでみたい。2024/11/13
aquamarine
78
初めてこの話を読んだ時、思わず読んでいる椅子から腰を浮かせたのを覚えている。手紙を読んでいた彼女のように、部屋が薄暗くなるのも気づかずに没頭していたのだろう。私の中の「人間椅子」はセピア色で音がない。…乙女の本棚シリーズは好きで、目の覚めるような色の変化に息を止めたりすることもしばしばなのだが、それでももともと自分の持っていた印象が大きく変わることはなかった。しかし今回は想像にない色が明るく美しく、まるで別の物語のように感じた。人により最初からこんな雰囲気で読む方もいるのだろう。不思議で新鮮な体験だった。2021/04/29