内容説明
漱石、太宰、谷崎、乱歩…文豪の名作に「らくがき」をしたら、小説のことがもっとわかった!東大の先生が考えた新しくておもしろい読書入門。
目次
夏目漱石『三四郎』―目覚めたら話がはじまっていた
夏目漱石『明暗』―小説世界に「探り」を入れる
志賀直哉「城の崎にて」―一行目で事故に遭う
志賀直哉「小僧の神様」―おいしい話を盗み聞き
太宰治『人間失格』―太宰モードに洗脳される
太宰治『斜陽』―こんなに丁寧に話すんですか?
谷崎潤一郎『細雪』―一筋縄ではいかないあらすじ
谷崎潤一郎「刺青」―劇場的な語り口
川端康成『雪国』―美しい日本語だと思いますか?
梶井基次郎「檸檬」―善玉の文学臭〔ほか〕
著者等紹介
阿部公彦[アベマサヒコ]
1966年横浜市生まれ。現在、東京大学文学部准教授。英米文学研究。文芸評論。著書に『文学を“凝視する”』(岩波書店、サントリー学芸賞受賞)など。翻訳もある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鱒子
64
図書館本。文学を読むための入門手引書。取っつきにくい名作文学にらくがきして楽しく読もう!という本です。しかし、わたしがタイトルから想像したものとは違っていました。いじると面白さUPになって大爆笑!というのは、わたしの勝手な思い込みでした。なんかいじっても真面目。文学論としては なるほど と思うところが多いです。2019/08/26
くさてる
19
「明暗」「細雪」「檸檬」「風立ちぬ」などの、近代文学の名作の冒頭に赤字を入れて「いじる」ことでその作品と向きあうというアプローチで書かれた一冊。正直言って最初は「いじる」という表現に違和感があったのですが、著者の解説がとても丁寧で作品に敬意があるので、面白く読み進めることが出来ました。取り上げられている作品を再読したくなります。「小説」の形式や書き方に興味がある人には特におすすめです。2017/11/22
那由多
11
タイトルの印象とは違い、真面目な解説だったので私が求めていたものではなかった。(もっと気軽なタイプを想像していたので)記入されたラクガキは思ったより少ないし、ガチ寄りの文学論だし、いじりも私のツボとかけ離れている。『風立ちぬ』しか共感できなかった。真摯に文学を理論的に捉える方向きで、私には難しかったです。2018/05/12
しじみ
11
名作の1ページ目に色んなツッコミを書き込む、というポップな方法だったので、入門レベルの本かと思ったら、結構ガッツリな文学論でした。大学でこの分野を勉強した私でも理解が難しい部分が多くて…。研究者って、こういう風に読み取るんだなぁ〜って、雰囲気だけで楽しみました。2018/04/04
Ayumi Katayama
11
某保険会社さんが作っておられる「BEST BOOK」なる小冊子の2018年2月号にこの本が紹介されていた。読み終わってはいたが感想を書きあぐねていたもので、そこへレビューが飛び込んできたわけであるから、せっかくなので少しカンニングをさせていただこう。『本は手で触れたり、書きこんだりしながらいじくりまわした方がよくわかることもある<中略>本は読むためだけのものではない、というメッセージをこめた日本語読解案内である。』▼久しぶりに名作と称される作品を読みたくなる。私としては是非三島由紀夫を取り上げて欲しかった2018/02/17