内容説明
梶井基次郎の『檸檬』が、書籍の装画やCDジャケットなどで活躍し、幅広い世代から支持を得ているイラストレーター・げみによって、鮮やかに現代にリミックス。不朽の名作が、いま新たによみがえる。人気シリーズ「乙女の本棚」の第4弾が登場。
著者等紹介
梶井基次郎[カジイモトジロウ]
明治34年(1901年)大阪府生まれ。同人誌「青空」で活動するが、少年時代からの肺結核が悪化。初めての創作集『檸檬』刊行の翌年、31歳の若さで郷里大阪にて逝去した
げみ[ゲミ]
平成元年(1989年)兵庫県三田市出身。京都造形芸術大学美術工芸学科日本画コース卒業後、イラストレーターとして作家活動を開始。数多くの書籍の装画を担当している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
193
初めて読んだのはいつだったかも忘れているのに・・あの頃はただ字面をなぞっていただけだったろう。げみさんのイラストがどうにもしっくりくる。今なら少しは感じることが出来る。この文章の美しさ。この唐突さ。鬱屈した何かを抱えて生きていた頃はないですか?2018/08/08
たっくん
170
肺の病気、神経衰弱、植菌のせいばかりではない、「えたいの知れない不吉な魂」に抑えつけられ憂鬱な心情の「私」、ある日、京都の町を歩いていると寺町通里の果物屋に私の好きなレモンが並べてあった。レモンをひとつ買い、それを握ってみると「不吉な魂」が幾分和らぎ、幸福を感じた。そして「丸善」に寄ってみると、再び憂鬱が立ち込めてきた。「私」は、買ってきたレモンを画集の上に置いてみると・・「得体の知れない憂鬱な心情」を色彩豊かな感情で詩的に描いた名作だが・・難解。2024/01/20
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
167
人に優しくありたいと、ねがいながら。うまくいかないことも多いのです。伝わらなくて地に落ちて、踏みつけられて果肉が出ている、黒く汚れた私の檸檬。ああかなしいな、かなしいな。どうしたらよかったのかなと思い悩むと、それはいっそ憎しみに変わってしまうときもある。いっそのこと目が覚めるような美しい檸檬色ではなく、爽やかな香りのものでもなければこんなにもかなしくなかった。それでも置いてしまう暗い街に、土ぼこりのなかに大好きな檸檬。爆発するのかしら、美味しい檸檬ケーキとして食べてくれるのかしら、私の檸檬。2020/04/26
寂しがり屋の狼さん
166
【乙女の本棚】シリーズ12冊目📚️あてもなく京都の街をさまよい、果物店で見つけた檸檬…その冷たさはたとえようもなくよかった🍋レモンってなかなか漢字で書けないですよね(笑)挿し絵は今作で3冊目の『げみ』さん。『蜜柑』とはまた違った感じで物語を表現しています(*^.^*)2020/01/26
ナイスネイチャ
112
図書館本。挿絵に惹かれて。檸檬を置いていったんですね。解釈が挿絵だとわかりやすい。2019/01/08