内容説明
太宰治の『女生徒』が、ファッションブランドAngelic Prettyなど、乙女心をくすぐる作品で知られるイラストレーター今井キラによって、鮮やかに現代リミックス。全イラスト書き下ろしで贈る、珠玉のコラボレーション。
著者等紹介
太宰治[ダザイオサム]
明治42年(1909年)青森県生まれ。小説家。1935年、「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し玉川上水で入水自殺した
今井キラ[イマイキラ]
兵庫県生まれ。ファッションブランドAngelic Prettyや雑誌、小説の装丁画などに作品を提供(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナイスネイチャ
135
図書館本。思春期の女子学生の心のうちを一日の生活で綴ってました。反抗期や大人に対する嫌悪感、背伸びしたいが大人になるのは嫌という微妙な乙女を太宰治が描く面白さ。2019/01/28
寂しがり屋の狼さん
118
【乙女の本棚】シリーズ。大人は不潔で嫌い、何時までも清くあり続けたいと想いながらも、心と身体は自分の意思とは関係なく変化し少女から女性へ…大人と子供の狭間で揺れる思春期の女の子を描いた作品。『今井キラ』のロリータな挿絵が作品の世界に色を与え見事に引き込まれます💓『人間失格』とは違う太宰治が楽しめました(*^.^*)2019/10/20
吉田あや
74
少女から女性へと変化の時にある女の子の脳内を描くその見事さに、何度読んでも新鮮に感動する。早口であろう次々と飛び去る思考、移りゆく気持ちは少女の期間を通り過ぎた人であれば見に覚えがありすぎて、まるで文字で見るアルバムの様。レエスやすみれ、古風なアンブレラ、絹レエスで編んだ黒い手袋。薔薇のワルツを夢見ながら、現在の自分をマッチ売りの娘と例える不機嫌さは少女そのもの。柔らかいピンクの夕靄に美しく生きたいと願ってすぐ、巡り巡る思考の中で夢を見、絶望し、(⇒)2022/04/20
J D
73
太宰治何十年ぶりに読む。「女生徒」は初めてなはず。一言、面倒臭い少女だな。下着の刺繍と靴を買ってもらう代償に母の肩を揉む以外は、なんだその感情という感じ。朝起きてから夜寝るまでの少女の一日。誰しもこんな時期あるような無いような。充足感のない心は、こんな感じなんだろう。女生徒の姿を借りた太宰のつぶやきのような作品だった。挿絵は今井キラさん、さすが乙女の本棚の本領発揮。良かったです。2024/07/27
ままこ
70
好きな本に紹介されていて気になり読んでみた。京極夏彦さんの文体に似ている。独白体で綴られる思春期真っ只中の少女の1日。眼を覚ました時の気持ちの表し方が複雑すぎて面白い。新聞の本の広告文が1番楽しいというのも納得。おやすみなさいも詩的。太宰治が描く文学的瑞々しい中二病。今井キラさんの雰囲気ある麗しい絵がお話にぴったりで素敵。〈乙女の本棚シリーズ〉2024/11/22