内容説明
マンガの神様が自ら綴った半生記が、文庫新装版として待望の復刊。宝塚歌劇、映画、天文学から昆虫まで、多感な幼少期の逸話をはじめ、デビュー時の思い出や国民的人気マンガ家となってからの栄光と挫折の日々を描いた本書は、手塚治虫が遺した唯一の自伝であるとともに、漫画史の貴重な記録でもある。加えて“鉄腕アトムクラブ”に連載されたもうひとつの回想録「ボクのまんが記」を文庫初収録!!こちらは、随所に挿画が添えられた楽しい作品。
目次
書き出しがむずかしい プロローグ
1 やぶれかぶれの少年期
2 廃墟のあちこちで
3 仙花紙文化
4 漫画少年のふところ
5 児漫長屋紳士録
6 第二の戦後のなかで
7 死にものぐるいの季節
いばらと泥濘 エピローグ
付 ボクのまんが記
著者等紹介
手塚治虫[テズカオサム]
1928年、大阪府豊中市生まれ。兵庫県宝塚市で少年時代を過ごす。46年マンガ家としてデビュー。翌年発表した「新寳島」等のストーリーマンガにより、戦後マンガ界に新生面を拓く。62年アニメーション作家としてデビュー。翌年から放映したテレビアニメ「鉄腕アトム」により、テレビアニメブームをまきおこす。89年2月9日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アマニョッキ
30
手塚治虫の自伝でもあり、戦前戦後の漫画史でもある一冊でした。 手塚先生ほどの人でも人を羨み、嫉妬し、打ちのめされてきたと聞くと、漫画家という職業の苛酷さがひしひしと伝わります。 福田英一氏の死においての心中の吐露シーンが胸に刺さりました。 そして有名なキューブリックからの手紙の行で、まさか本物の写真が拝めるとは!感激でした。 もし本当に手塚先生の美術指導が実現していたら、「2001年〜」はどんな作品になっていたんでしょうね。2016/08/20
またの名
7
落語の練習にと自分の声を録音して聴いてたら「夕べの気持ち悪い声はどういうお客で?」と尋ねられショボーン状態になり、お手製プラネタリウムはミミズ形の汚れが這って挫折。あれこれ挑戦するも周囲に評価されなかった少年が有名漫画家になると、今度は誰彼なく褒めてきても愛想返事をして「もう沢山だ!」と一人呟く。浮き沈み激しい漫画家の形成はそのまま戦後社会の構築と歩みを共にし、生涯を語るだけで歴史の振り返りに等しい。「俺の絵、このごろどう思う? はっきりいってくれ、俺の絵はもうおしまいなのか?」という貪欲な嫉妬と向上心。2019/02/28
ぶうたん
6
自伝的作品の『ぼくはマンガ家』と『ボクのまんが記』を併録した文庫。文章を書くのが本職じゃ無いせいもあると思うが、時系列が整理されておらず、読みにくい。それに客観的なマンガを巡る時代的な状況も挟まるので、自伝として散漫な印象は否めない。そうは言っても戦後の漫画界の巨匠なので貴重な証言であることは間違いなく、意義深い本ではありましょう。2016/07/26
Amuro
1
漫画界の大巨匠が漫画史を語る自伝書または歴史書と言えるのだが、自伝と歴史が入り混じり、頭に入りにくい文章構造となっているように思える。絵描きの天才は文章書きの天才とはなり得ないと言うことか。2018/11/09
p-man
1
漫画・アニメーション黎明期の話は、非常に面白い!ライバルが亡くなったときの心情なんかも正直に吐露されていて、少しだけ巨匠の内面が垣間見えた気がしました。2017/02/27