内容説明
アルファベットを発明した人々の文化。粘土版に鮮かに刻まれた、ナイル・ユーフラテスに挾まれた肥沃の地に展開する諸民族の興亡・交易・文化交流…。
目次
1 「古代シリア」について
2 石から青銅の時代へ
3 最古の文書から
4 エブラとその王宮文書
5 前第二千年紀に移行する時代のシリア
6 マリの諸王と同時代のシリアの人々
7 ヤムハドの大王たちの時代
8 イドゥリミ王とかれの彫像
9 列強のシリア争奪戦
10 粘土板に記されたカナアン文学
1 ウガリトの神々の世界
12 ヒッタイトが支配した時代のシリア
13 ヒッタイト時代のシリアの商業と手工業
14 大転換「海の民」とアラム人
15 鉄器時代初期のシリア諸国の世界
16 地中海まで伸びたアッシリアの支配権
17 多様のなかの統一―前第一千年紀初頭のシリア文化
18 ネブカドネザルからアレクサンドロスまで―シリアの新しい征服者たち
19 それ以降現在までのシリアの略史
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いとう・しんご singoito2
9
「ゲナスドルフ」の巻末広告で見て面白そうだったので借りてきました。本書ではバビロニア、パレスチナ、トルコ東部を含む広い地域の歴史を起源前4000年頃から扱っていて、一番最後の方でバビロン捕囚の話題なども登場します。図版多数で、読む楽しみと見る楽しみ、一冊で二度美味しい、今年の読み納めにちょうど良い本でした。2022/12/31
belier
3
文化の解説がとくによかった。文学については、ウガリトで出土された粘土板の神話テキストをいくつか抜粋して紹介してくれている。著者によると、ギリシア神話や聖書に影響を与えただろうという。彫像など造形物については、サイズが大きくクリアな写真図版のおかげで、現代人の観点だが芸術として質が高く傑作という評も納得した。歴史については、「海の民」がシリアの都市を破壊したとエジプトの碑文に書かれているが、シリアの文献は全く触れていないと指摘、破壊の原因は「海の民」ではないだろうと著者が述べているのが興味深かった。2023/08/24