出版社内容情報
世界から取り残される日本経済、非正規の増大で不安定化する雇用、拡大する格差、削減される福祉、改善されない少子化、一方で増大する企業利益、激増する軍事費、アメリカ追随の外交…。今日の日本の状況をもたらした新自由主義政策の歴史と新自由主義の本質を明らかにする論稿を収録。
内容説明
新自由主義は世界と日本をどう変えたのか。新自由主義とは、「自由な」市場のグローバルな拡大と競争の激化の下で、資本の活動の無制約な自由を回復することによってその競争力を強化し資本蓄積の拡大をめざす資本主義の新たな段階を示す概念である。新自由主義はなぜ台頭し世界に拡延したのかを分析し、日本における新自由主義の特殊な相貌を解明する。
目次
1 「構造改革」で日本は幸せになるのか?(「構造改革」で日本は幸せになるのか?―「構造改革」に対決する「新しい福祉国家」への道)
2 新自由主義と日本の新自由主義―その総括的検討(現代国家の変貌―グローバリゼーション・新自由主義改革・帝国主義;開発主義・企業社会の構造とその再編成;日本の新自由主義―ハーヴェイ『新自由主義』に寄せて;D・ハーヴェイ『新自由主義』の問題提起と日本における新自由主義の展開;コロナ禍の中の新自由主義―その歴史的位置・構造・矛盾)
3 日本の新自由主義の開始・本格的展開(「政治改革」から保守二大政党制へ―開発主義国家体制の再編とその困難;企業支配構造の解体構想―『新時代の「日本的経営」』のねらうもの;橋本「行政改革」は日本をどこへ導くか;小泉政権の登場と参院選の政治的意義;小泉政治は何をめざしているのか―「構造改革」政治の確立;九・一一総選挙の結果と構造改革推進体制の確立;新自由主義戦略としての司法改革・大学改革;財界と「教育改革」)
著者等紹介
渡辺治[ワタナベオサム]
一橋大学名誉教授。1947年東京都生まれ。1972年東京大学法学部卒業、73年4月より79年3月まで東京大学社会科学研究所助手、79年10月より同研究所助教授、1990年4月より一橋大学社会学部教授、2000年4月より10年3月まで同大学大学院社会学研究科教授、この間、2004年12月より06年11月まで同大学院社会学研究科長・社会学部長、2010年名誉教授。2001年より10年まで東京自治問題研究所理事長。2012年より15年まで日本民主法律家協会理事長。2004年より「九条の会」事務局(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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