内容説明
自らに対し、批判的な言動をする者には態度を硬化させ、さまざまに「権力」を発動する。それが組閣における人選、マスコミへの圧力、憲法無視、学問の知見軽視、公私混同となって言動にあらわれ、さらなる批判を浴びる。するとさらにキレる。つまり、首相としての資質や統治能力に問題があるのである。なのになぜ安倍首相は日本の憲政史上最長の政権を維持できたのか?
目次
第1部 長期政権の分析(官邸権力の強大化;野党の弱体化と労働界;安定した内閣支持率;自民党の右傾化)
第2部 制度の劣化(国会審議の形骸化―日本の議院内閣制;選挙制度の疲労;文書管理の現場―官僚制と文書廃棄)
第3部 日本政治の伝統と今後(首相と天皇のことば―敗「戦後」生まれの日米関係;揺れる法の支配;国家の融解;安倍政権をみるもうひとつの眼)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田中峰和
4
コロナで影が薄くなった安倍。感染症への貢献度が低くアベノマスクで悪名を残した首相が歴代最長政権となった要因を分析した本。マスコミへの圧力、憲法無視、学問の知見軽視、公私混同など、反知性主義の権化として記憶に残る政権だった。7年以上に亘って政権を維持できた要因は、長期的にみれば派閥の弱体化と小選挙区制。安倍政権の下地を作ったのはやはり、小泉首相だった。郵政民営化を問う選挙で反対派を弾圧し、対立候補を立て、その独裁ぶりが安倍に引き継がれた。首相としての資質も統治能力もない男が日本を弱体化させたのは間違いない。2020/10/01
zatugei
0
安倍政権の行ってきた数々の政策や奇策についての検証と批判。わかりやすくおもしろい。2022/09/22