内容説明
混迷を深める中東、失敗を重ねる米国…三度の潜入取材に成功、世界でただ一人のジャーナリストが語る衝撃の日本人人質事件の背景とは…“脅威”の実像に迫る!
目次
1 潜入取材(「イラスム国にすぐ来い」;国境越え―スナイパーと警備隊を避けて ほか)
2 勢力拡大の謎(政府軍基地攻撃の実態;「アラブの春」とシリア ほか)
3 理念と現実(イスラム国という「国」;カリフ制再興運動とは ほか)
4 義勇兵たち(いざ、内戦のシリアへ;オマル司令官 ほか)
5 どう向きあうか(現状を招いた責任はどこにあるのか;ありえた選択肢―シリアへの軍事介入 ほか)
著者等紹介
常岡浩介[ツネオカコウスケ]
1969年長崎県生まれ。早稲田大学卒業。94年からNBC長崎放送報道部記者に。98年よりフリーランスとなる。アフガニスタン、エチオピア、チェチェン、イラクなどの戦場で取材を続け、通信社や新聞、雑誌などに寄稿。2008年に『ロシア 語られない戦争―チェチェンゲリラ従軍記』(アスキー新書)で平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞受賞
高世仁[タカセヒトシ]
1953年山形県生まれ。通信社特派員としてバンコク、マニラに駐在し、反政府運動、環境問題など幅広いテーマを取材。97年、元北朝鮮工作員による横田めぐみさんらしい女性の目撃証言をスクープ。現在、番組制作会社「ジン・ネット」代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ntahima
28
【市図書27】著者のことは15年前のチェチェン紛争取材当時から知っていた。ツイッターで氏の主張の断片的は望見していたがこうして一冊の本として纏まると中東情勢がスッと頭に染入る。インタビュー形式なので数時間もあれば読めるだろう。但、内容は重くて深い。この後、田中考元教授の著作にも目を通す予定。アフガニスタンからタリバンと中央政府を日本に招いて対話させるというプロジェクトを母校が行っていると知って驚いた。そう言や先日CISMORの公開動画を見ていた時、講演者が「キャンパスにタリバンが来た!」って言ってたっけ。2016/01/08
しーふぉ
23
日本では実態のよく分からないイスラム国について三度取材で内部に行った常岡さんとの対談のようなもの。ニュースになった北大生にも関係していたり、湯川さんが捕まった際にはイスラム国側から通訳を依頼されたり良いのかは分からないけれど、日本人で最もイスラム国について詳しい人なのかもしれないだけに良く分かる。2017/04/11
redbaron
9
アメリカはシリア・イスラム国に対する対応をはき違え、自ら反米感情を煽っている。米国はイスラム国に対し戦争を宣言したが、果たして本当の敵はイスラム国なのか。先の日本人人質殺害でこの国は集団的自衛権を行使できるチャンスだと言っているが、このままでは米国の失敗に引きずり込まれるだけだわ。もっと中立な立場で人道的支援を行う等、日本にしかできないことを、今こそやるべきではないのかしら。冷静に中東情勢を見るべきですわ。アルジャジーラの放映を望む。2015/03/18
makimakimasa
7
湯川遥菜さん救出への試み、多様な国籍の義勇兵達との付き合い…先日自身2度目の人質事件を引き起こした曰く付きの人物だが、マスコミとは異なる取材手法で情報提供してくれるジャーナリストは貴重である。アサド政権と戦う勝手連・自由シリア軍。それを支援するアルカイダ系のヌスラ戦線。元はその上部組織であったイスラム国は、サラフィー・ジハード主義を背景に、それら反政府勢力と政府軍の内戦の隙を突いて領土を拡大していく。ISは軍事的には弱い、元々反米ではなかった、ネットによる情報発信に価値を置いていない、etc 意外な話も。2016/11/13
うがり
6
前に読んだ「常岡さん、人質になる」とは随分テイストが違う。ただぼんやりと怖いと思っていた「イスラム国」の内情や常岡さんならではの情報があふれていた。常岡さんと聞き手の高世さんは分かりやすいが、イスラム教の話や各国の思惑などが複雑なため一回では理解するのは無理だろう。しかし、この本が発売されてからすぐに湯川さん、後藤さんが殺害されてしまった。もし常岡さんがあの時日本から出れていたら少しは違ったかもしれない。そう思うと悔しい。僕らは知ること、知ろうとすることしかできない。であれば常岡さんみたいな人が常に必要だ2019/03/14