目次
第1章 二つの賃金
第2章 工場労働者によって形成される雇用社会
第3章 第一次世界大戦と賃金制度を決める主要プレイヤーの登場
第4章 日本的賃金の誕生
第5章 基本給を中心とした賃金体系
第6章 雇用類型と組織
第7章 賃金政策と賃金決定機構
第8章 社会生活のなかの賃金
著者等紹介
金子良事[カネコリョウジ]
1978年生まれ。経済学博士。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。専門は労働史、社会政策史。東日本大震災以降、大槌町・釜石市を中心に復興支援活動を続ける。現在は法政大学大原社会問題研究所兼任研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
8
日本の賃金の歴史を、戦前から今日まで訪ね歩いたという感じの本です。僕の基礎知識が足りず、難しかったです。賃金の歴史を顧みながら分析するという視点は弱かったように思います。また、僕は日本は低賃金構造を作り出す労働市場を分析する必要性を感じますが、労働運動や階級闘争という視点は乏しく、何によって労働市場が規定されているのかは、労使の協調のあり方のように捉えているように思えました。確実に言えることは、僕がもっと勉強しなければならないということですね。2014/01/29
yagian
2
社会科学研究会の輪読会の次の課題図書。この領域の基礎知識がないため、すんなり理解できなかった。輪読会で解説を聞きながら考え直すと理解できるかも。いずれにせよ、賃金はすっきりと市場原理で決まっているわけではない(そういう要素もあるけれど)ということはわかる。2018/02/07
くちびる生肉
2
めちゃくちゃおもしろい!マニアックな話も多いんだけど、初学者にもわかるよう丹念な説明とセットになってる。付録の学習者向けの参考文献リストも文字通り参考になる。私の方が一回り若いけど、著者の溢れる自信と才能を眩しく感じた。途中で放り出さないようにスピード重視で読んだので、二回目はレジュメ取りながらじっくり向き合ってみよう…。2015/02/19
Junpei Egawa
1
日本の賃金制度について明治期から説明されてます。本書のみではとっつきにくい面もあると思うので「日本の雇用と労働法 (日経文庫)」を先に読むのが良いかと。人事、労務担当者は必読かな2014/09/08
とくべい
1
日本の賃金の変遷を明治から現代まで簡潔にたどった労作。日本的賃金の決定に際して、戦後の主導的な地位を占めていた「生活賃金」思想の維持が困難になっていると著者は主張する。最低限の生活を保障される賃金からこぼれ落ちた、パートに代表される女性や非正規労働者の低賃金をどう克服していけばいいのか、その道筋は示されてはおらず、あるべき賃金決定の難しさだけが浮かび上がってしまったように思う。2014/05/14