内容説明
もっと多くのいのちを救いたかった。押し寄せる巨大津波をまえに決死の活動をつづけた被災地の消防隊員と応援に駆け付けた兵庫県の消防隊員たちの記録。
目次
はじめに―津波と瓦礫のなかで
南三陸消防署(無念さを胸に過酷な状況を乗りこえる;我々はどこまで命を張るべきなのか ほか)
亘理消防署(被害の実態が不明ななかで進めた過酷な捜索;捜索活動をめぐってときには熱くなって ほか)
神戸市消防局(兵庫県隊)(神戸から東北の地へ;兵庫県隊長として、できることを全力で ほか)
著者等紹介
川井龍介[カワイリュウスケ]
1956年生まれ、毎日新聞記者などをへてフリーのジャーナリスト、ノンフィクションライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
震災を考え続ける本棚
感想・レビュー
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saga
8
被災した現地の消防職員と、緊急消防援助隊として現地入りした神戸市消防局所属消防職員の手記。双方とも勤務日誌を書くかのごとく、簡潔な文章が綴られていた。現地消防からは「応援を心強く」、援助隊は「期待に応えたい」という気持ちが皆の文章から伝わる。そして、帯の『もっと多くのいのちを救いたかった』が共通した思いなのだろう。2012/08/22
ぴーなっつ
4
これを読んでるときに熊本で震災が起こった。私が住んでるところも揺れて、とても怖かった。それは消防隊も同じだよね、きっと。でも消防隊員だから、怖いとか言ってられなくて、家族も置いて動く。それで殉職された消防隊員もいて、「もし消防隊員ではなかったら」というような文章が印象的だった。東日本大震災から5年が経過し、今ではあまりメディアでの報道がされなくなった。もう5年なのか、まだ5年なのか。それはわからないけれどまだまだ復興の途中だろう。お涙頂戴の報道より人々が頑張る姿をもっと伝えてほしい。2016/04/27
児玉拓磨
1
実際に震災を体験した隊員の声や、神戸市の消防士が現地に赴き活動した内容が 簡潔に、しかし様々な葛藤がありながらの懸命な作業だったことがわかった。震災からもう少しで二年経ち、被災地も復興に向けてゆっくりと歩みだしているが、災害大国である日本は今後も地震をはじめたくさんの災害が起こることは避けては通れないので、今回の震災も含め多くを学び活かしていかなければならないと強く感じた。2013/03/04
天晴草紙
1
あの大震災において、兵庫県隊は阪神・淡路大震災の恩返しをしなければとの熱い思いで救援に向かう。ところが、二転三転する指示に振り回され、転戦また転戦を強いられることになり、支援活動がなかなかできない。「南三陸町は甚大な被害を受けて壊滅状態であり、道路は寸断され、京都府隊は徒歩で進入した。連絡がつかないため、兵庫県隊は自隊の努力によって見つけ出してはいるよう」指示を受ける。石のように凍りついたおにぎりを手に黒い海に腰まで浸かっての捜索。やっと休めてもテントが雪の重みでつぶれていく。まさに死闘。壮絶な記録だ。2012/06/10
Keiji Oda
0
病院の待合室で読んで泣いた。 2013/05/14