内容説明
本書は、1934年独立法いわゆるタイディングス・マクダフィー法で定められたフィリピン独立の期日と政治・経済・軍事的諸条件の変更すなわち独立法改正問題を中心とする米比関係史を―独立問題が米国議会で本格的に検討されはじめた1929年を起点として、1946年7月4日に共和国が独立するまでの約17年間について―検討するものである。その考察を通じて、フィリピン併合(1898年)から在比米軍撤退(1992年)に到る約1世紀にわたった継続した米国とフィリピン・エリートの協力関係の構造的特質を国際関係史の視点から検討し、1930年代から第2次世界大戦に到る国際環境のなかで、アジアの植民地として他に先駆けて独立への道を歩んだフィリピンの国家形成が、主として米国の政策によってどのような影響を受け、条件づけられたのかを明らかにすることが本書の目的である。
目次
第1章 フィリピン独立問題の構図
第2章 独立法の成立とコモンウェルスの発足
第3章 コモンウェルス自立の課題:貿易・財政問題をめぐって
第4章 独立法改正問題の展開
第5章 第2次世界大戦「非参戦」期の米比関係
第6章 フィリピン独立問題と日本
第7章 解放・再占領と共和国独立への道