出版社内容情報
植民地期台湾で八田與一が主導した、大規模水利施設「嘉南大?」およびその中心施設「烏山頭ダム」建設事業は台湾の水利改善と農業発展に大きく貢献し、現代台湾においても広く知られている。
八田については1980年代に詳細な伝記が出版され、スタンダードな理解になっているが、八田に関する事実認識には40年近く大きな変化がない。
そのため、嘉南大?に関する日本内外の技術者の活動と提案、それに対する八田の反応について明らかにし認識のアップデートを図った。
また、第一次世界大戦中に行われた南洋調査(八田と60人超の国会議員・外交官・学者・経営者・技術者らがフィリピン・マレーシア・シンガポール・インドネシア・ベトナム・中国を50数日かけて訪問)についての八田の報告書や、同行者の記述を手掛かりに、この調査の詳細を調べた。
これらをまとめ、稀代の技術者八田與一の能力・台湾への貢献・東南アジア諸国との関わりなどについての多くの新たな真実を明らかにして八田への理解を深め、新しい八田像を提示している。
【目次】
目次
まえがき・序文
第1章 八田與一ってどんな人?
1.1 今も台湾で愛される日本人
大学でのアンケート
1.2 八田與一の生涯
台湾以前の八田與一
嘉南大?以前の八田
八田と家族
嘉南大?以後の八田
1.3 八田與一をめぐる言説
戦前期の八田與一評価
東宮の台湾行啓における八田
嘉南大?評価と八田
日本の技術者と八田
国外での評価
台湾における名士としての八田
戦後期の八田與一評価
1960 年代以前の文献
1960 年代の文献
1970 年代以後の文献
1.4 八田與一の言説
台湾技術協会
八田の時局論 ―台湾と中国―
台湾・中国以外への言及
第2章 烏山頭ダムと嘉南大?
2.1 ダムについて
ダムの目的
ダムの種類
ダムの構造
2.2 百年ダム、百年水路への行程
烏山頭ダム
セミ・ハイドロリック・フィル(半射水式)工法
嘉南大?事業の調査と計画
2.3 烏山頭ダムと嘉南大?がもたらしたもの
衛生
職員の待遇
三年輪作
ダムの経済的効果
観光地としての烏山頭ダム ―八田與一の先見性
第3章 八田與一に助言した人たち
3.1 嘉南大?事業初期における八田與一の立場
3.2 地質学の大家・神保小虎
神保の生涯
神保の業績
神保と台湾
調査の意義と日程
神保小虎が見た烏山頭ダムの建設事業
烏山嶺トンネルでの石油事故
神保は石油ガス事故を予見できていたか?
小括
3.3 日本のダム建設の大先輩・佐野藤次郎
佐野による調査に関するこれまでの見方
佐野藤次郎という人物
調査の日程と費用
佐野の提案とそれに対する評価
トンネル位置の変更
前大埔地方の灌漑計画
ダムの曲がり方
佐野藤次郎の提案と影響
小括
3.4 世界的なダムの権威?ジャスティン
1924(大正13)年までのジャスティン
ジャスティンの論文 Design of Earth Dam
ジャスティンはアースダムの権威だったのか?
ジャスティンの招聘
ジャスティンによる指摘事項
コアを不透水性のコンクリートコアにすること
余水吐口の設計変更と代替案の提示
戦時中の資料に見るジャスティン
1925 年以後のジャスティンの活動
小括
第4章 八田與一が見た南洋の国々
4.1 八田與一も参加した南洋調査団の設立
南洋調査団に注目する意味
南洋への関心と新航路開設
調査団の構成
4.2 調査団が南洋で過ごした約6



