内容説明
永遠にかみ合わない議論、罵り合う人と人。その根底にある「具体=わかりやすさ」の弊害と「抽象=知性」の危機。具体と抽象の往復思考で見えてくる対立の構造と知性のありようとは?
目次
抽象化なくして生きられない
数と言葉―人間の頭はどこがすごいのか
デフォルメ―すぐれた物まねや似顔絵とは
精神世界と物理世界―言葉には二つずつ意味がある
法則とパターン認識―一を聞いて十を知る
関係性と構造―図解の目的は何か
往復運動―たとえ話の成否は何で決まるか
相対的―「おにぎり」は具体か抽象か
本質―議論がかみ合わないのはなぜか〔ほか〕
著者等紹介
細谷功[ホソヤイサオ]
ビジネスコンサルタント、著述家。1964年、神奈川県に生まれる。東京大学工学部を卒業後、東芝を経てビジネスコンサルティングの世界へ。米仏日系コンサルティング会社を経て、2009年よりクニエのマネージングディレクターとなる。2012年より同社コンサルティングフェローに。ビジネスコンサルティングのみならず、問題解決や思考に関する講演やセミナーを国内外の企業や各種団体、大学などに対して実施している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろき@巨人の肩
83
人間は「数」と「言葉」の発明により「抽象化」という武器を手に入れた。「具体と抽象」とは相対的な抽象化のレベルの違いであり、具体から抽象へ連続的かつ階層的に構造化できる。「下」から「上」は見えず、抽象の階段を登り続けることでしか思考のレベルは高まらない。また、抽象化スキルを実践的に使いこなすには、具体と抽象を行き来できることが重要。階層化のコツは、デフォルメ、精神世界、法則・パターン認識、関係性により共通点を見つけ出す。抽象を使いこなすには、二項対立、ベクトル、階層、アナロジー を使って表現する。2024/12/01
esop
68
具体(量)⇄抽象(質)/抽象レベルが合わないと話が噛み合わない/具体と抽象は立ち位置によって変わる、例:おにぎり(具体)⇄ご飯(抽象)、おにぎり(抽象)⇄鮭のおにぎり(具体)/具体→抽象→具体の往復をすることで理解が促進2024/10/11
桜井葵
58
130ページほどしかなく、ポップな書き方なのでサクッと読めます。各々に4コマ漫画でも概念を説明してあり頭に入りやすい。具体と抽象はそれぞれのメリットとデメリットがありそれをどう使いこなすか?が重要になる。具体的であればあるほど分かりやすくなるが聞き手が思考停止になりやすい。抽象度が上がれば上がるほど理解しにくくなるが、自由度が増していく。伝える側はまずは抽象度を上げて全体像を理解して、聞き手側の理解できるくらいまで具体的にまで落とし込むのが本当の意味での話が上手な人。自分の伝えたいことは相手が理解してこそ2018/12/29
kinkin
53
具体と抽象についtわかりやすい解説が嬉しい。なるほどモヤっとしていたものがすこしすっきりした。抽象的という言葉は仕事で使うとかなりマイナスの印象があり、具体的にと求められることがかなり多い。本書に出てくる三角形の絵で抽象、具体が説明されているので頭にはいりやすい。この本で抽象という言葉の大切さと、これから物事を考えるうえでのヒントになったと思う。ノートを整理したりプランを練る際にはとても有効ではないか。再読したい。きのうの夜感想を打っている時点で寝てしまった・・失礼* *2015/07/05
にいたけ
42
「思考の整理学」の参考図書として購入。上司と部下の話が噛み合わない原因が良く理解できた。具体的に話してあげられれば何をやるかは理解出来、物事は進む。しかしこれでは部下は思考停止人間になってしまう。ベクトルの話から具体的にやるべきことを組み立て実行する。そのためには具体的、抽象的とは何かを学ぶ必要がある。四コマ漫画を混じえてわかりやすく教えてくれる良本。具体と抽象を理解してそれを意識して話すだけでイライラしなくて済むよ。2024/05/25