内容説明
小説を「軽く」読むのはもったいない―国際バカロレアの文学教師が、近現代の文学作品をミクロとマクロの視点で読み解きながら、面白さのワケを探る。
目次
第1章 「文字」と「符号」の科学―表現の扉を開く
第2章 「静」と「動」の美学―文の構造がもたらすもの
第3章 「場の雰囲気」を生みだすトリック―感情の「熱」と「冷」
第4章 「リアリティー」を求めて―描写のメカニズム
第5章 「語る」行為―さまざまな語り手をめぐって
著者等紹介
小林真大[コバヤシマサヒロ]
山形県生まれ。早稲田大学卒業。IB JAPANESEオンラインスクール代表。現在インターナショナルスクールで国際バカロレアの文学教師を勤める。また、オンラインで海外子女への指導も行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AR読書記録
5
こちらも野良の本読みだが、それなりに年数冊数は重ねてきたので、なるほど目から鱗とは、そうそうならない。が、自分の中で言語化されていなかった感覚・印象が、きれいに整理されて文章になって出てくると、野良の道の迂遠さ、外からもたらされる文明の光明を思う(でも野良は野良でいいさという気持ちは変わんないかなあ... 自分のペースのあじわいで満足でもある)。ところで例文は、これをまた読んでみたいなあという参考に、とてもなる。2023/01/12
Yui
4
七五調。文章のリズムを出すために自分でも試してみたい。自分が小説を読んでいる時の感覚的なものを言語化、体系化するためにとても勉強になった。「どういう仕掛けがあるから、こういう感情になる」というところまで言葉にできるとだいぶ読みが深まりそう。情景描写と登場人物の心情をリンクさせるなど、言われてみれば当たり前のことだけど今まで意識してこなかった効果にも目がいくようになり、これからの読書が楽しみ。例がふんだんにあるので理論が頭に入ってくる。わかりやすい。2023/08/13
つくし
4
丁寧でわかりやすいレッスンでした。漢字とひらがなとカタカナの印象の違いや、……や――の役割。文字情報の表情の豊かさ、その魅力に改めて気づかせてくれる本。2023/02/11
me23
1
ここの表現がこうだったらどう印象が変わるか、と比較していく手法で、レトリックの効果を検証するのはわかりやすい。やっぱ語り手の分析はおもしろい。読むペースが他と全然違った。2023/07/08
U-Tchallenge
1
小説だけではないが本を読むことは好きで、いつも何かしらの本を読んでいる。だから、多くのことはなるほどと思えた。読むことを通して感覚的にわかっていたことがきちんと言語化されていたという印象であった。小説をただ読むだけではもったいないと改めて思わされた。2023/05/19