内容説明
「地獄の戦場」から生還した兵士たちが踏みしめた祖国には、仇敵マッカーサーが君臨していた。十八万人もの戦死者は何のために死んだのか。その新たな位置づけ。
目次
なぜニューギニア戦を取り上げるのか
なぜニューギニア戦は起こったのか
第一期ニューギニア戦―日本軍の攻勢と豪軍主力の連合軍の反撃
第二期ニューギニア戦(日・米豪軍の激闘と日本軍の難関越え;島嶼戦と航空戦)
第三期ニューギニア戦―昭和十八年の空白 唯一の戦場
第四期ニューギニア戦(第十八軍の最終的抵抗と戦線の西進;豪軍の掃討戦と米軍のフィリピン進攻;自給自足つき降伏と復員)
著者等紹介
田中宏巳[タナカヒロミ]
1943年、長野県松本市生まれ。1968年、早稲田大学文学部史学科卒。1974年、同大学大学院博士課程満期退学。1977年防衛大学校専任講師。1993年同大学校教授。2008年、同大学校定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nnpusnsn1945
42
太平洋戦争のニューギニア戦線の戦史についてまとめた本。一ノ瀬俊也氏の『昭和戦争講義』で推薦されており、吉田裕氏の『日本軍兵士』でも取り上げられていた。読むと日本軍側の失策が目立つ。軍制度改革の不徹底(いろいろな制度は天皇に絡む勅語と決して無関係でないので簡単に変えられない。)餓死、病死などが頻繁に出てくる。兵士の視点が入っているのは大変良い。サラワケット越えは過酷そのものである。ちなみに作戦は佐官クラスの幕僚が立案していたようだ。 しかし佐官も将官も大局感は大して持ち合わせていないようである。2021/06/19
roatsu
26
巻末資料まで含め650頁にも上る濃密な大著だが、本書を読まずして対米戦史を語るなかれと言える、日本人への課題図書の如き意義深い一冊。昭和17年に始まり敗戦まで続いたニューギニア戦の実相を紐解き、その戦いが日米戦という大局の中で彼我にどんな意義を持ったかを検証する。読めば日米戦の鍵はニューギニア戦にありということが理解できるだろう。第18軍を始めその多くが還らぬ人となった我が二十万将兵の凄まじい善戦敢闘と無念に報いる記録でもある。個々の戦いを知る者にもニューギニアの戦いに縦糸を通した俯瞰的整理と分析を施した2019/07/03
Toska
5
太平洋戦史上で重要な役割を演じ、多くの将兵の血を吸ったニューギニア戦が不当に軽視されている現状への義憤が感じられる労作。確かにこれは、戦略の欠如、裏付けを欠いた楽観論、陸海軍間の度し難いセクショナリズム(著者はとりわけ海軍側に厳しい)等々、日本軍の諸々の欠点がさらけ出された戦いだった。こうした悲惨な事実を直視せず、ラバウル航空隊など「よく戦った」戦いにばかり目を向けてきたのであれば、戦後日本の戦争観は勇壮な戦場講談の域を出なかったのではないか、と考えさせられる。2022/06/11
スカイバニラ
5
ニューギニア戦の通史。当初は米豪軍と同等の戦力を保持していた日本軍が制空権、制海権を奪われ徐々に追い詰められていく過程は悲惨の一言。各戦闘の大まかな流れがわかりやすく記されています。所々で著者の日本軍上層部を厳しく非難する箇所や、当時の日本社会についての著者の見解が挿まれる点、マッカーサーを少々持ち上げすぎているような気もしますが、ここらへんは読む人を選ぶかもしれません。2009/10/27
陽香
0
h2110082012/05/13