感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KUMAGAI NAOCO
1
アンドレ・ジィドによる短い小説。青年ラカーズは研究の為古い蔵書を所有するフローシュ夫妻の住む田舎の屋敷に滞在する。フローシュ夫人の姪の子だというカジミールに懐かれるものの、あまりに退屈なのでパリに戻ろうとして、帰り際にカジミールが見せてくれた彼の母イザベルの肖像画にラカーズは一目惚れしてしまう。彼女が隣の家の子爵と駆け落ちしたとか、その前夜に書いたらしい手紙を見つけ、彼の妄想は止まらない。ま、現実はそんな人じゃなくて幻滅する、という落ちだが、割とさらっとした後味は悪くない終わり方。2021/10/28