内容説明
今ではなかなか読むことの出来ないロシア短篇の傑作十点を精妙な鴎外訳で。コロレンコ「樺太脱獄記」。チリコフ「板ばさみ」;ゴーリキー「センツアマニ」。アンドレーエフ「歯痛」「犬」。クズミン「フロルスと賊と」。ディモフ「襟」。アルチバシェッフ「笑」「死」「罪人」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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15
春陽堂が昭和初年に刊行した全集本の復刻版。森鴎外訳により、コロレンコからアルツィバーシェフまでが網羅されている。鴎外の編纂方針は不明のため、個々の作品について縷述する。コロレンコの中篇『樺太脱獄記』は、流刑人からの聞き書きという体裁をとっている。極寒に閉ざされた樺太の、凄惨な自然や苛烈な人情が克明に描破され、読み応えがあった。お気に入りのアルツィバーシェフは、最多の三篇が紹介されている。癲狂院の医師が、患者との議論の果てに哄笑が止まらなくなり拘束されてしまう『笑』に、チェーホフの名作『六号室』を連想した。2021/01/30
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