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出版社内容情報
より完全な自筆本に近い様相を残す、中世史・中世文学研究に不可欠な第一級史料!
【明月記とは】
藤原定家の日記であり、定家研究必備の史料である。
宮廷政治家としての日常や感懐が記され、また周辺の人物も多く登場するため歴史資料として重要なものである。
『明月記 徳大寺家本』の特色と編集方針
◆原本(『冷泉家時雨亭叢書56~60 明月記』)との相違
現在『冷泉家時雨亭叢書56~60 明月記』の刊行により、明月記研究は大幅に深化し、原本の様相が判明した。しかし、原本は永年の保存によりしばしば虫損個所が見られる。また、定家の筆跡が「定家様」として珍重されたこともあり、一部の巻が巷間に流出したり、巻物が細かく切り刻まれたりしたため、現存する原本には不完全な箇所がある。本書・徳大寺家本は、江戸中期に冷泉為久が原本から忠実に書写した写本や、原本を用いて丁寧に校合されており、為久が修理する以前の原本の姿を伝え、原本にある首書(記事の見出し)や上欄補書を全て加筆し、極めて原本に近い内容となっている。なお、徳大寺家本には、もともと写本になかった部分を原本等から書き抜いた「抄本」十二冊があり、これを最終巻に収める。
◆諸写本との相違
『明月記』は中世から二条良基らにより書写されていたが、近世に入っては、慶長十九年徳川家康の命により冷泉家所蔵の原本が書写されたのを始め、多くの写本が作成されている。しかし、これらの写本では原本にある首書や、上欄補書が省略されている。本書・徳大寺家本は校合により、朱筆にてこれらを補うとともに諸写本共通の誤りを訂正している。
◆『国書刊行会本(活字本)』との相違
『国書刊行会刊』は、前記の多くの写本を取り混ぜて翻刻されたため、同じく原本にある首書や、上欄補書が省略されていたり、書写や校正の誤りによる間違いが散見される。本書・徳大寺家本は校合により朱筆にて活字本にある誤りを訂正・加筆している。
◆楷書で書かれているため極めて解読しやすい
本書は大部分楷書で書写されているため、原本より、より解読し易く容易に読む事ができる。また、かなで記述されている部分には、傍らに漢字表記を宛てており、極めて利用し易い。
◆詳細な解題と資料
「原本及び原本断簡一覧表」を附す。
各頁には柱にて巻数、年月を表記し、各巻末には解題を附し、さらに最終巻末には現在確認できる限りの原本の所在状況を示す「原本及び原本断簡一覧表」を附し利用者の便を図る。
◆鮮明な2色刷りにて原本を忠実に複製
撮影したデータを最新のカラースキャナーにより全頁を墨及び朱の二色にカラー分解して製版し、それぞれ原本通り忠実に再現した。また、一部、薄青色に記述された個所は、口絵にカラー印刷して附し、原本の様相を伝えるようにした。
◆長期的に保存・使用できる堅牢な丸背上製本と美しい貼函入り
全巻を堅牢で日常の使用に耐えるべき丸背上製本とし、美しい貼函に挿入した。
●お勧めしたい方●
中世文学・文学史・中世史等々研究の方、大学図書館、研究室、公共図書館、冷泉家時雨亭叢書及び国書刊行会本をお持ちの方など