内容説明
父と母を知らずに育った“ロマンチックな運命の子”ちえ子。幼友達ミナとの悲しい別れ、女学校で出会った“憧れのお姉様”柿沼さんの結婚、そして真実の母との涙の対面―時代を超えて読みつがれる少女小説の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
青豆
11
父母を知らずに祖母と叔父により育てられた少女・ちえ子の物語。北海道を舞台に、祖母の牧場でアイヌの血を引く幼なじみと過ごした幼少期を経て、札幌市内の女学校へ入学するちえ子。そこで出会った年上の美少女と姉妹関係を結び、成長していく中で自分の出生の秘密を知る。吉屋信子らしい世界観と、中原淳一の挿絵により、これぞ少女小説!といった作品になっている。2014/08/14
ちおりーぬ
6
吉屋信子の世界は本当に美しい。読みやすい文章、文字から浮かび上がる情景、そして少女たちが話す綺麗で可愛らしい日本語。 しかし、その中に少女期の苦悩や子どもから抜け出し切れていない感情などが盛り込まれているのがすごい。 70年前の少女たちはこの物語を読んで読後になにを感じていたのだろうか? それが私と同じものだったら嬉しい。2014/03/28
152
4
話や設定は全く違うけれど大草原の小さな家や小公女のような雰囲気があり、西洋っぽさと日本のレトロ感が同居していて素敵。祖母様と叔父様に見守られながらアイヌの幼友達と過ごす童年期が印象的だった。美麗でどこかあたたかい挿絵も相まって、優しい気持ちにさせてくれる一冊。2014/09/28
tegi
3
北海道を舞台としアイヌの少女も登場するなど、往時の北海道イメージも感じられて興味深い。巻末の森下真理による解説は、「朝日新聞社版全集の年譜がよく参考にされるが、正確とは言い難い」として簡潔に評伝的情報も記載されており参考になる。
那
3
吉屋信子さん、今更ながら初めて読ませていただきました。ストーリーは王道かつあっさりとしていましたが、とても美しい文章と雰囲気で素敵でした。次は短編を読んでみたいです。2016/02/24




