出版社内容情報
◎満洲、朝鮮、そして台湾―。さまざまな民族が交錯する「大日本帝国」の勢力圏。その白日夢の内実に迫る、幻の作品群が今ここに甦る。
★020. 台湾小説集 中村地平 1941年・墨水書房
1930年の「霧社事件」(高山族が日本人など136名を殺戮)に迫った『霧の蕃社』、高山族の女性に魅惑される日本人画家を描く『蕃界の女』など、南方憧憬に満ちた10篇。(解説・岡林稔)
中村地平 なかむら ちへい 1908~1963 宮崎市生れ。本名治兵衛。1926年、台湾総督府高等学校に入学し、濱田隼雄らと同人誌「足跡」を創刊。卒業後、東京帝大美術史科に入学。井伏鱒二に師事し、太宰治、小山佑士とともに井伏門下の三羽烏と呼ばれる。1932年、小説『熱帯柳の種子』で文壇に出る。1939年に台湾各地を旅行。『蕃界の女』『霧の蕃社』『長耳国漂流記』など、台湾に取材した作品を多く残した。
本書の特色
●日本「内地」中心の文学史から抜け落ちた植民地の文学! 待望の復刻選集。
●さまざまな民族の立場から、植民地の諸相が多面的に浮かび上がる。
●歴史的価値が高く、研究者から復刻を強く望まれていた作品を厳選。
●日本人以外の作家によって書かれた日本語文学作品も多数収録。
●各種図書館などにもほとんど所蔵されていない、閲覧困難な幻の稀覯本。
●各巻の巻末に解説(作家紹介、作品の背景、歴史的価値など)を付す。
●今日の近代文学研究の一大潮流である戦時下の文学研究にも不可欠の文献集。
●文学のみならず、近代日本史・アジア史の研究にも大いに有益な資料。
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- 和書
- 総理大臣宮沢喜一