出版社内容情報
◎満洲、朝鮮、そして台湾―。さまざまな民族が交錯する「大日本帝国」の勢力圏。その白日夢の内実に迫る、幻の作品群が今ここに甦る。
★009. 開 墾 張 赫宙 1943年・中央公論社
日中の政治力学の谷間で、現地人との軋轢の中に苦悩しつつ生き抜く朝鮮人満洲移民の姿を描く。朝鮮人農民、中国人地主や当局者、日本領事や警官隊などが入り乱れる傑作長篇。(解説・白川豊)
※著者紹介 張 赫宙 チャン ヒョクチュ (野口 赫 宙)1905~ 本名・張恩重。朝鮮慶尚北道大邱生れ。大邱高等普通学校を卒業後、教鞭をとる傍らで小説を執筆。1932年、短篇『餓鬼道』が「改造」の懸賞小説に入選し日本文壇にデビュー。「文芸首都」同人となり、本拠地を日本に移す。(のち帰化)。朝鮮語でも書いたが日本語作品が多い。『奮ひ起つ者』『美しき結婚』『開墾』などで朝鮮民族の現実や民族的苦悩も描いたが、親日的作品も残した。
本書の特色
●日本「内地」中心の文学史から抜け落ちた植民地の文学! 待望の復刻選集。
●さまざまな民族の立場から、植民地の諸相が多面的に浮かび上がる。
●歴史的価値が高く、研究者から復刻を強く望まれていた作品を厳選。
●日本人以外の作家によって書かれた日本語文学作品も多数収録。
●各種図書館などにもほとんど所蔵されていない、閲覧困難な幻の稀覯本。
●各巻の巻末に解説(作家紹介、作品の背景、歴史的価値など)を付す。
●今日の近代文学研究の一大潮流である戦時下の文学研究にも不可欠の文献集。
●文学のみならず、近代日本史・アジア史の研究にも大いに有益な資料。
-
- 和書
- あなのはなし