出版社内容情報
◎満洲、朝鮮、そして台湾―。さまざまな民族が交錯する「大日本帝国」の勢力圏。その白日夢の内実に迫る、幻の作品群が今ここに甦る。
★006. 第八号転轍機 日向伸夫 1941年・砂子屋書房
満鉄に働く鉄道員たちの物語。下積みの労働者層へのヒューマニスティックな共感に溢れた六篇の収録作は、「満洲」に住むそれぞれの民族の心理的葛藤が繊細に描かれている。(解説・天野真美)
※著者紹介 日向伸夫 ひなた のぶお 1913~1945 本名・高橋貞雄。京都府舞鶴市生れ。第三高等学校を中退後、1936年に「満洲」に渡り、満鉄に入社。ハルピン駅に勤務する。1939年、雑誌「作文」に同人として参加し、翌年、小説『第八号転轍機』で第一回満洲文話会賞を受賞。社会や人間に対する透徹した観察眼に根ざしたその作品は高い評価を受けた。1943年応召。1945年に沖縄で戦死。著書に『第八号転轍機』『辺土旅情』など。
本書の特色
●日本「内地」中心の文学史から抜け落ちた植民地の文学! 待望の復刻選集。
●さまざまな民族の立場から、植民地の諸相が多面的に浮かび上がる。
●歴史的価値が高く、研究者から復刻を強く望まれていた作品を厳選。
●日本人以外の作家によって書かれた日本語文学作品も多数収録。
●各種図書館などにもほとんど所蔵されていない、閲覧困難な幻の稀覯本。
●各巻の巻末に解説(作家紹介、作品の背景、歴史的価値など)を付す。
●今日の近代文学研究の一大潮流である戦時下の文学研究にも不可欠の文献集。
●文学のみならず、近代日本史・アジア史の研究にも大いに有益な資料。