目次
1 間の思想と社会学―和辻哲郎「私の根本の考」をめぐって(一つの思考様式の系譜;哲学のスキャンダル?;社会学と間の思想;倫理学と社会学の間;間の思想と相互作用;間の思想からのさらなる展開;結論とさらなる課題:和辻哲郎をめぐる相互作用)
2 人間の学としての社会学―社会理論と和辻哲郎『人間の学としての倫理学』(循環論法という方法;人間という概念;一九三〇年代に追いつくために;分岐点としての和辻倫理学;倫理と社会の間;弁証法という修辞法;社会の修辞法;倫理を作り出す;思想を語る方法;自己言及する人間;循環する社会;解釈学的社会;自己言及社会から)
著者等紹介
犬飼裕一[イヌカイユウイチ]
1968年、愛知県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。北海学園大学経済学部教授。社会学理論、歴史社会学、知識社会学、日本文化論。『マックス・ウェーバーにおける歴史科学の展開』(ミネルヴァ書房、2007年)(2008年度日本社会学史学会奨励賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぽん教授(非実在系)
5
通常倫理学として語られる和辻の仕事を社会学として読み治すなかなかにチャレンジングな仕事である。社会学の根本はジンメルやゴフマンなどが言ってるとおり個人の相互行為であり、システム論の自己言及などの発想にもかかわってくるものである。これを和辻は倫理学として出力した、というのが本書の主張である。和辻の本をそこまで読んでいないため狐につままれた気分にもなるが、少なくても平仄は合っているように思われる。よほど、著者は実証主義的な方法論とやらに立腹しているようであり、ほかの著作も読みたくなった。2016/11/22