内容説明
本書の目的は文化人類学的調査によって得られたデータをもとに、以下の二点に焦点を当てながらスリランカ南岸海村の家族と地域社会の変化を考察することである。第一に家庭運営に責任をもつ女性の役割に注目する。アジアの海村は近年になって開発政策の影響を受け、グローバルエコノミーに巻き込まれ、その生産活動や人々の生活は急激な変化の途上にある。このような変化に家事の担い手である女性はどのようにし対応し、いかなる生き方を選択しているかをみていく。第二に漁撈活動を通じて、独立性の高い家々の集合体として臨海域で生活してきたこの地域の人々が、国家の政策に呼応する形で地域的なまとまりのある実体として集合していく過程を迫っていく。
目次
第1部 スリランカ海村における女性の労働(海村と女性の労働;スリランカの漁業の歴史と現状;ダクヌガマ村タルナウェラ;海村の「開発」とタルナウェラの女性)
第2部 ムラの創成とムラアイデンティティの確立(ニックネームにみられる漁民の仏教的価値観と個人の類別;地域社会と「我々の」寺;ムラと寺のこれから;食生活の変遷と女性)
著者等紹介
高桑史子[タカクワフミコ]
1949年兵庫県西宮市生まれ。早稲田大学第一文学部東洋史学科卒業。明治大学大学院政治経済研究科修士課程、博士後期課程を経て、現在、東京都立短期大学文化国際学科教授。専門は文化人類学。スリランカ、日本の南西諸島、鹿児島県の島嶼にてフィールドワークを行っている
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