内容説明
現代物理学において、ゲージ理論の果たす役割と、その理論的意義の重要さは改めて言うまでもないであろう。ゲージ理論は自然の仕組みの本質を認識する手だてとして、重要な原理の一つである。従って、ゲージ理論の解析力学を、学生向けに易しく解説する入門書を書くことは有意義であろう。本書は解析力学の初歩的知識があれば読めるはずである。ゲージ理論は拘束条件のある力学系であるが、拘束条件を内包する力学系はゲージ理論以外にも多く存在する。それら拘束系の力学を一般的に定式化したディラック理論を基にして、それをさらに発展させた解析力学の体系を解説するのが本書の目的である。拘束系には従属変数が含まれるので、ラグランジュ形式とハミルトン形式との対応が自明ではないので、古典力学ばかりでなく量子化も複雑である。したがって、量子力学の基礎となる古典解析力学を正しく定式化することが必要である。
目次
解析力学の基礎
ラグランジュ形式とハミルトン形式の同等性
作用積分の不変性と保存則
正準理論
運動方程式の積分
場の理論への拡張
拘束系の力学―位相空間
ゲージ理論
位相空間と速度位相空間の対応
ゲージ自由度―ディラックの予想と関連して
ゲージ群の分類
ゲージ理論について
著者等紹介
菅野礼司[スガノレイジ]
理学博士。1954年京都大学理学部物理学科卒業。1959年京都大学理学研究科博士課程卒業。1959~60年湯川奨学生として基礎物理学研究所で研究。1960年大阪市立大学理学部物理学教室助手。以後、講師、助教授、教授を経て1994年に停年退職。1994年大阪市立大学名誉教授。専門分野:素粒子論、科学論。『科学は「自然」をどう語ってきたか』(ミネルヴァ書房)(日刊工業新聞・技術・科学図書優秀賞授賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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