内容説明
研究史上、いままでほとんど不明であった石川淳の生家・斯波家。同家に残された文書・写真、さらに関係者などへの取材で明らかになる幼少時の生活。さらにいわゆる「空白の十年」のアウトラインを描き、文学者・石川淳の人間像に迫る。後半には詳細な「石川淳伝記的年譜」を収録。
目次
1部 石川淳傳説(二人の「祖父」と「祖母」;父の政財界への進出;兄・斯波武綱と久保田万太郎;父・斯波厚と石川淳;斯波家の凋落と石川の決意;新たな旅立ちと挫折;「無頼なる放浪生活」と兄・武綱の生活;「再出発」と小説の執筆;芥川賞受賞と“発禁処分”そして戦時下…;敗戦前後、そして流行作家へ)
2部 石川淳伝記的年譜(渡辺喜一郎編)
著者等紹介
渡辺喜一郎[ワタナベキイチロウ]
1948年福井市生まれ。1972年、東京教育大学卒業後、福井県・北陸高校勤務。1988年、福井県文化協議会新人賞受賞。1989年、福井大学教育学部非常勤講師(近代文学)。2007~8年、北陸高校教頭。2008年、法政大学大学院人文科学研究科日本文学専攻博士学位審査。2013年、北陸高校退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ハチアカデミー
9
漢文の素養を持ちフランス文学作品を多く翻訳し晩年は安部公房に師と慕われた芥川賞作家・石川淳の半生を描く。自らのことを語る・語られるのを嫌った作家故、個人的な情報が表に出ることの少ない作家でもある。本書では、これまで整理されてこなかった複雑な出生や、芥川賞受賞までの下積み時代・翻訳家時代に焦点が当てられている。遺族への配慮もあるためか、やや歯切れの悪さやストレートではない表現など、なかなか内容をつかみにくい本ではあったが、石川淳研究の少なさを鑑みればとかく有益な一冊。巻末の年表も詳細で人のつながりがわかる。2014/05/04
shouyi.
3
石川淳の誕生から死までをエピソードを交えて語ったもの。石川淳は大好きな作家だが、この本から石川淳の熱さみたいなものを感じることはできなかった。私もこの筆者と同じくらい石川淳はもっと読まれて良い作家だと思うが、だとしたら違う方向からアプローチすべきではなかったろうか。2019/06/22