内容説明
『少女都市』を改作して驚異的にステップアップした『少女都市からの呼び声』、初期唐組芝居の白眉『透明人間』、そして「さすらいの飼育係」たちの群像劇『動物園が消える日』。再演回数の多い名作戯曲を三本そろえた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
30
3つ収録されているが、今回は表題作がやけに胸に残った。唐十郎はメタファーを重視する。ガラスの子宮。すべてを跳ね返すように頑丈でなおかつ脆く、冷たく、そして美しい。そこに何を読み取るか。満州における大日本帝国の幻想、あるいは母親になることを拒む少女の深層心理。ラムネのビー玉とビンの関係性になぞらえた愛憎は同族嫌悪の類だろうか。お得意の言葉遊びが始まったとひと息つくと、いきなり核心に迫る。映画「シアトリカル」で酒を飲んで笑っていた唐さんが次の瞬間に豹変し、理不尽なことを怒鳴り出すように。まさに御注意あそばせ。2023/09/12
Y2K☮
25
たとえばシェイクスピアは映像が無くても本だけで十分楽しめる。イプセンも同様。唐十郎は違う。彼の戯曲は文学としてはかなりシュール。混沌。少なくとも三次元に留まっていない。だが舞台と併せる事で魔法が生じる。「透明人間」の公演を紅テントで見た後にこの本に収録された同作の戯曲を読んだら、言葉を超えた部分で驚くほど腑に落ちた。自分のペースで熟読できる本と流れが切れない一発勝負の舞台、各々が互いの弱点を補っている。唐さんは小説のスタイルも斬新だが、そっちはメタファーも明快で文学だけで完結している。書き分けてるのか? 2015/05/12
yokosen
0
74点。本ではなく、新宿梁山泊(演出:金盾進)のビデオ(ビデオSHOW劇場)を鑑賞したのでメモ。博士を演じる金守珍、老人二人(ゴドーを思わせる)を演じる鄭義信と東憲司、石井ひとみの怪演、洲永敬子の巧さが印象に残る。大正琴がカッコイイ。雑然と過剰とファンタジー、あとユング心理学。野田秀樹が唐の影響を受けたと聞いたが、そんな感じはする。言語によって担保される世界という意味で、演劇が最も似ているメディアはライトノベル。ラムネ瓶のビー玉は、割らなければ外には出せないわけで。最後の演出は誰のオリジナルなんだろうか。2009/12/22
葛
0
少女都市からの呼び声(1985) 透明人間(1990) 動物園が消える日(1993) 2008年11月10日印刷 2008年11月20日発行 著者:唐十郎 編集:堀切直人 発行者:三武義彦 発行所:株式会社右文書院 印刷・製本:東京リスマチック株式会社 定価:本体1900円+税 装釘:古舘明廣 カバー写真:「透明人間」より2021/01/17
りんご
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一度だけ観劇。戯曲は何度か読んだ。わけがわからないのはまあ当然として、パワーとなんとはなしの美しさと、圧で押してくスタイル。