内容説明
重なりあう声の現場にわけ入って掘りあてる歴史のリアリティ。
目次
第1章 民話の対抗力
第2章 資料の形態を読む
第3章 うわさ話研究のフォーマット
第4章 クダンの誕生
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
48
流言、噂に関する論文集。これまで主に読んできた噂に関する文は都市伝説等が中心だったので、これに収録されている戦時中の流言はとても興味深かった。ただ本書は流言ではなく、それを取り扱う方法論が中心とされているように感じた。それが特に顕著なのは第二章及び第四章。二章および巻末資料では新しい資料を発見した研究者の喜びと共に流言を軍部がどのように扱っていたのかを垣間見えるし、四章では推測が正しいかどうかは別にして噂の生成のメカニズムを明らかにしている。予想していたのとはちょっと違ったけど必読すべき内容だった。2015/06/14
三柴ゆよし
13
流言に関する論文をまとめた本なので、社会学的な資料の取り扱いについて論じた第二章だけは、門外漢にはチンプンカンプンだったのだが、それ以外の部分は楽しく読んだ。著者は柳田国男の研究者でもあるので、第一章「民話の対抗力」及び第四章「クダンの誕生」は、民俗学における口承文芸研究(特に世間話)に向けた批判にもなっている。また第三章では、エドガール・モラン『オルレアンのうわさ』の解読を通して、流言研究の糸口を探っていくのだが、そこで提示される<リアリティの空白を虚構が埋める>という論理には、ハッとさせられた。良書。2014/03/15
Sensyuraku
1
流言研究をしたい人向けの本って感じ。資料のメタ的な読み解き方とか扱い方とか。大戦中の流言についての憲兵資料の写し書きが海軍技術研究所の検査用紙の裏紙であったことから何を考えておくべきか〜みたいな話で本の半分ぐらい使ってた。2014/06/17
tak_kamerad
1
「オルレアンのうわさ」についてエドガール・モラン、「(略)狂乱なんていうけれど、これは私たち自身の思考の陰画を、ちょっとばかりカリカチュア化したものにすぎない。」2010/07/16
tkm66
0
結構面白かった、との覚えが。2009/01/12