内容説明
本書は、イスラムの世界で今日発生している事象、なかでも急激な社会変動のなかに生きる民衆の行動や意識に接近するために、言いかえれば、第三世界の都市と文化と社会統合の問題に接近するために、筆者が必要と想定する枠組みを示し、それにもとづく分析を試みたものである。
目次
序 中東イスラム世界を一緒に考えよう
1 社会学は第三世界の変動を解析する(「中東イスラム世界の社会学」は考える;軍人が体制を変えるとき;社会がまとまるときとまとまらないとき;第三世界が国家建設をするとき;人々が宗教化するときと世俗化するとき;伝統が変容するときと持続するとき)
2 中東社会における開発と変容(開発と変容の20年の軌跡;バグダードの発展とシーア派住民;内戦下のベイルートとシーア派住民;シーア派の宗教化とアーシューラー―宗教儀礼と中枢;シーア派とスンニ派―教義と組織;巨大都市カイロの発展と都市問題;アンマンの国際化と都市開発;たくましいイスラム世界の女性たち;イスラムの伝統都市サナーの変容;ラバトの開発と植民地状況;国内植民地型国家建設とエスニック集団―イスラエルの中枢とアラブ人;開発型国家建設とエスニック集団―サウジアラビアの中枢と部族;国家建設過程における周辺と中枢―中東最大のエスニック集団クルド族;革命中枢のすすめる国家建設―イラン・イスラム共和国)