内容説明
発展途上国への開発援助は、もはや単なる経済援助ではない。「開発の政治化」のもとで国家間の政治力学は大きく変化し、中立であるはずの国連までもがその渦中にある。国際政治という大舞台を背景とする、国連開発援助の未来を問う。
目次
1 冷戦期における国連開発援助(UNDPの創設とその活動;冷戦下における国際政治状況と開発援助)
2 冷戦終結後世界の新潮流―「開発の政治化」(冷戦構造の崩壊と国際政治経済状況の変化;人間開発―UNDPによる新たな援助指針;ガヴァナンスと「開発の政治化」)
3 平和構築の推進と国連開発援助(国連開発援助体制の構築;「紛争と開発」議論とUNDPの機構改革;UNDPによる早期警報システムの構築;紛争分析手法の開発)
著者等紹介
大平剛[オオヒラツヨシ]
1965年大阪府生まれ。1991年京都大学経済学部卒業。1994年英国ウォリック大学大学院国際政治経済学修士課程修了。1998年名古屋大学大学院国際開発研究科国際協力専攻博士後期課程単位取得満期退学。名古屋大学大学院国際開発研究科助手を経て、北九州市立大学外国語学部准教授、博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とある本棚
2
少し古いが良書。UNDPやDACの視点から国際開発援助潮流の変遷を概観できる。各時代のアプローチの功罪が丁寧にまとめられており参考になる。類書にはない新鮮な指摘も多かった(特にBHNへの批判等)。全体としてUNDPの援助という一本の筋は通っているものの、各章がもう少し連間していればより読みやすかったと思う。2022/02/02
Gloria
2
UNDPの40年なので1965-2005の話。だからMDGs→SDGsの話は当然書いてない。でも90年代に開発ディスコースにはパラダイムシフトが起きたのでそこまでの理解を作るにはとても丁寧でよい適切なレビュー文献的本だと思う。各章の後ろにしっかりreferenceついてるから孫引きもここからできるし。 でも最近の開発ディスコースを論じるにはやっぱり最新のポリシーペーパー辺りを読まないとダメだわ。2016/10/04