出版社内容情報
生物・化学兵器は戦争のみならずテロリストたちの攻撃武器としても使われるようになり,わが国でも松本サリン事件,東京地下鉄サリン事件で洗礼を受けた.ここで重要なのが傷者の救助と治療である.本書は,これらの傷者の救助,治療にあたる初期対応者,救命士,救急隊員や,救助者を治療する医療従事者の対応の仕方を,イラスト等を多用してわかりやすく解説している.まず,救命士や救急隊員が大量破壊兵器による傷者を搬送する際に直面するプレホスピタルにおける問題点に焦点を絞り,“BNICE”すなわち生物剤(B),核兵器(N),放火装置(I),化学剤(C),従来の爆薬(E)のような脅威による傷害のプレホスピタルケアについて詳述している.また,大量破壊兵器事案における複合外傷や疾病の最新の知見のほか,個人防護や除染等についても解説している.
【編集担当者コメント】
本書は翻訳本である.したがって,日本の国内法と一部整合しない点も見受けられる.しかしながら,テロ対処の先進国アメリカの初動対処の実際を知ることは無駄ではないし,手本にすべき事項も数多く見受けられ,いわゆるファーストレスポンダー(初動対処要員)に対するガイドブック的な初の書籍である.本事案に対処するのは救急隊員や救命士だけではない.若手医師や看護師,警察官や消防士,行政および司法担当者等広域にわたる関係者がいるが,これらの関係者にも,是非,一読して欲しい.と同時に,本書の知識が不要となるよう願いつつ,万が一の時に備えてほしい.
感想・レビュー
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- 和書
- 風をつかまえて 文春文庫