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内容説明
「あー…そっか、もしかして俺しばらく音信不通だった?」『一周間。さすがに死んだかと思うだろ』そんなにたってたっけ。どうりで六月も終わるはずだ。―三嶋は友人の電話に起こされ、寝ぼけたままバスルームへと向かった。ふと、戸口に人の気配がし振り返ろうとした時、首筋にあてられた刃物の感触に全身が凍りついた。「動かないで。動いたら切れるよ」三嶋の前に突然現れた少女マドカ。三嶋の夏はこうして始まった―。第9回電撃ゲーム小説大賞“大賞”受賞作『キーリ』シリーズの著者、書き下ろし長編。
著者等紹介
壁井ユカコ[カベイユカコ]
5月18日生まれ。信州育ちの東京在住。『キーリ』で第9回電撃ゲーム小説大賞“大賞”受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆかーん
31
久しぶりのライトノベルでしたが、予想以上に読みやすかったです。ジャンルで言うならば近未来SF小説のようでした。これまで植物や動物でしか行われていなかった遺伝子組み換えが、人間にも行われるようになるというお話でした。自分が産む子供の性格や見た目までを、親が自由に決められるという考え方が恐ろしく、自分の理想にそぐわなければ捨てられてしまう子供が可哀そうです…。生まれてくる子供が大人の言いなりとなり、実験道具として扱われてしまうこの世界。この出来事がこれから先の未来では起こらないようにと願うばかりです。2015/07/17
あおでん@やさどく管理人
25
「キーリ」シリーズ、「NO CALL NO LIFE」と読んできたが、壁井さんの描くどこか屈折した世界と、その世界に生きるどこか屈折したキャラクター達がやっぱり好き。先の見通しが全く立たない(むしろ暗いことを予感させる)中で描かれる刹那的な幸せの時間。そして、いろいろなものを失ってしまったとはいえ最後に描かれる穏やかな時間。うまく言葉にできないが、そんな描写がたまらない。2016/05/17
ゆめ
25
遺伝子操作によって出生前に子どもの容姿や能力、才能を自由にカスタマイズすることが合法となった世界。親と全く違う容姿を持って生まれてくる子ども、生まれた子どもの容姿が注文どおりではないと言って喚き立てる親、遺伝子操作事業の裏で人体実験や改造を繰り返す廃人たち、人格や人権を認められることのなく、オリジナルのストックとして認識されるクローンの存在。ハッピーエンドにも関わらず、エンディングにはどことなく退廃的な夜の匂いと冷たさが漂っている。何とも言えない切なさが残った。2014/06/11
coco夏ko10角
21
「罪と罰」の方を先に読んでこの世界設定に興味があったので無印のこちらも手に。マドカの立場はあるアメリカ映画を思い出した。キャラはススキが好きだな。2015/04/04
ココ
15
絶対にあり得ない話だと思いながらも、この今の時代ならいつか起きてしまうかも知れないと漠然とした怖さを感じた。でも、苦しい現実に戦い続けている日々の中で、ほんの少しだけ憧れてしまう世界だった。生まれた瞬間から世界の終わりが見える狭い箱の中で命を差し出すためだけに生きてきて、でもある日突然自由と、そして愛を知ってしまう。運命には抗えないけど、無条件に三島を信じていくマドカの健気さに胸を打たれました。描写は残酷な部分もあったしやっぱり怖いけど、ようやく読めて満足です。2020/04/13
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