内容説明
輝かしい名言の陰に隠れがちだが、歴史に残る暴言・失言は多い。それらを耳にすると、発言者の真意や裏側を知りたくなる。「書を日没する処の天子に」(聖徳太子)「この一門にあらざるは人非人たるべし」(平家)「貧乏人は麦を食え」(池田勇人)。ヤマトタケルからマッカーサーまで、世を騒がせた暴言の数々をユーモアたっぷりに検証する清水版・新日本史。
目次
はじめに 興味のつきない、暴言の力学
1 古代
2 中世
3 近世
4 近代・現代
おわりに 暴言で歴史に触れる
著者等紹介
清水義範[シミズヨシノリ]
1947年、愛知県名古屋市生まれ。愛知教育大学国語科卒。1986年『蕎麦ときしめん』でパスティーシュ(模倣)文学のジャンルを確立。88年『国語入試問題必勝法』で吉川英治文学新人賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぺぱごじら
33
歴史の流れの中にある栄枯盛衰、その両極点で発せられた言葉が、歴史上どう受け止められたのか、歪曲されたのか、或いは言ったことにされたのか、を読み解く清水さんの歴史講座。『暴言』とされる言葉たちが発せられた状況を推察し、これは暴言、これは失言、あぁこれは暴言ではないと判定する清水さんは楽しそうに見える(笑)。単に同意するだけではなく少しぼくの意見とは違うなぁと感じたり、ここまでは同じだけど、その先が違うなぁと感じたり、薄い新書ながら頭をかなり使った楽しい一冊。2013-532013/04/14
なる
29
刺激的なタイトルに惹かれて拝読。清水義範へはパスティーシュの代表的作家、という認識があってその着眼点の面白さにはいつも脱帽させられるけれど今回も同様で、この角度から切り込んできたか、という感心がまず出てくる。採用された発言の全てが暴言というわけではないけれど、どれも刺激的な言葉で発言の真意に興味を持つことで歴史を知る端緒として充分。特に面白かったのはヤマトタケル、聖徳太子、紫式部、白河上皇、徳川綱吉、神尾春央、福沢諭吉あたり。発言を額面通りに捉えるな、という警鐘でもある。現代の政治家に呆れる切り口も流石。2020/09/06
Ayumi Katayama
24
個人的にはこれが可笑しくって→『夜明けに、兄さんが便所に行くところを狙って、襲いかかってつかまえて、首をねじってしめ殺し、手と足を体から引きちぎり、こもに包んで投げ捨てました。あれで兄さんもよーくわかったことでしょう。』 これじゃあまるで、体力だけは長けた、でも何にも考えていないただのおバカか? などと思ってしまう。誰とは申しませんが(笑)。2021/06/20
ちさと
23
多くの場合、気持ちが高ぶった時に慎重に吟味されることなく飛び出てしまうのが「暴言」。ある意味で最もリアルなその人の肉声だ。本書はヤマトタケルからマッカーサーまで、これまで記録されてるいくつかの「暴言」を取り上げ、その真意や背景を面白おかしく探求していく1冊。著者の清水さんと言えばパスティーシュ作家として知られ、好きな作家さんのひとり。こんな風に歴史を真面目に取り上げている著書があったんですね。歴史家とは違った目の付け所が愉快で文章も抜群、ただ、折角ならもっと破天荒な展開あってもよかったかも。2025/07/08
しゅわ
17
【図書館】タイトルの通り、暴言という切り口で日本の歴史を解説した本。その暴言の背景や意図…場合によっては誤解されている経緯まで etc けっこう深い話もあって楽しめました。特に大化の改新や壬申の乱など…勝者の理論ばかりでずるいなぁ~と私的には気になっていたところをつっこんでくれていたので嬉しかったです。 ライバル!?清少納言と紫式部の年代のズレに対する解釈なんかは「なるほどなぁ」とうなずく部分も多かったです。歴史に詳しい人はもちろん、あまり詳しくない人も…気軽に読める一冊だと思います。2012/12/20
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- 独島/竹島韓国の論理