内容説明
聖書は多くの人びとの聖典であり、世界最大級のベストセラーである。聖書をこえる雑誌を創刊する!という大言壮語なプロジェクトに参加した編集者のわたしは、先輩のセンジュとともに取材に飛びまわる。巷にあふれる雑誌のなかから、奇蹟の端緒をつかんで、あらたな雑誌の核となるキリスト候補者を追い求め、密着する。世界を覆すような奇蹟はおこるのか。わたしたちにとってのキリストとはどんな人物なのか。はたして、雑誌は無事に刊行できるのか。
著者等紹介
真藤順丈[シンドウジュンジョウ]
1977年、東京都生まれ。『地図男』で、第3回ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞し、デビュー。続いて、『庵堂三兄弟の聖職』で第15回日本ホラー小説大賞大賞を受賞、『RANK』で第3回ポプラ社小説大賞特別賞を受賞。『東京ヴァンパイア・ファイナンス』で第15回電撃小説大賞銀賞を受賞。2008年、主要新人文学賞4賞を獲得する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Bugsy Malone
58
真藤順丈さん、今作もしっかりとハマりました。社会的影響力のある先生(ボス)の元、雑誌で新たな聖書を作るというプロジェクトの為に様々な奇蹟を取材し現代のキリスト候補を探すセンジュとわたし。前半の幾多の取材において、何を奇蹟とするかという視点もユニークで楽しいが、続く、「やっぱり真藤さんだ」と思わせる展開を経た後のラストに至っては、その不思議な優しさに感動すら覚え、地図男同様、読み終わるのが勿体ない、もっと話が聴きたい、もっと奇蹟が見たい、そんな気持ちにさせられてしまいました。2017/05/28
翔亀
30
【物語5】2008年に各種投稿新人賞に怒涛の如く4作連続受賞してデビューを果たした後の書下ろし作品(2010年)。書下ろしなのに連作短編集、というのがこの作家らしい仕掛けで、終わってみれば一大長編の満足感を味わえる。聖書に材をとり、モスクワやイスラエルまでも舞台にしつつ、黙示録をめぐる神父との思想劇まで展開するこの活劇に、現代における物語作家として作品を繰り出していく才能を感じる。つまり本作は聖書という素材に溺れることなく、あくまで現代を描いているのだ。<奇蹟を起こす聖人>探しをする雑誌編集者を↓2021/09/13
zazo嶋
5
「地図男」で主要新人賞を多数受賞後となる書き下ろし作。今回も書物シリーズとなっており、<全ての雑誌は誰かのバイブルである>という大義のもとに現代の聖書となるべく雑誌を刊行する事になった主人公。その主人公とコンビを組むライターの「センジュ」と共に現代のキリストとそのキリストが起す奇跡をひたすらに取材をしていく。そのキリスト対象者達の起す奇跡やストーリーは奇妙な話しなのに全てが面白くこの作品の中に自然と惹き込まれます。出てくる人物にまともな人間はいないのか!?ってくらいに奇妙な話しなのに妙に自然で、妙に愛くる2010/12/14
nyanco
5
聖書を超える雑誌を創刊する大プロジェクト…って、このあたりの発想の仕方は流石。前半部分はサクサク楽しく読めて実に楽しい。実在の雑誌名がそのまま出てくる、これを許した各社の心意気、お見事!中盤、ややだれるが、一気に回収される終盤は面白く、急展開すぎて勿体ないほど。個人的にはタクちゃんのエピソードが気に入っていたので、彼が再登場するのが嬉しい。伏線の回収も綺麗にされていてストンと見事に納まった。しかし、真藤さんらしいドロリとした感じや破天荒さがあっても良かったのでは…と感じました。続→2010/04/18
matsu0310
4
☆☆こいつの筆力ってやっぱ腕力系だね。もうほんとムリっぽい話も展開も、強引にガンガン行っちゃってくれるよなぁ。コレもしょーもない駄作っぽいんだが、余裕で最後まで読み切っちゃう・読ませられちったぜ2010/06/13