- ホーム
- > 和書
- > 文庫
- > 日本文学
- > MF文庫 ダ・ヴィンチ
内容説明
民生委員の千加子は、「レインボーハイツ」をたびたび訪れる。その名が虚しく響く、くすんだ灰色のマンション。そこに住む、なかば育児放棄された五歳児・瑠衣を世話するためだ。他の住人たちも生活に倦み疲れ、暗い陰をまとっていたが、やがて必然のように不幸が打ち続く。その裏にちらつく小さな影は一体…日常にじわりと滲み出す闇を生々しく描く長編怪談。文庫書き下ろし。
著者等紹介
宇佐美まこと[ウサミマコト]
1969年、愛媛県生まれ。2006年、「るんびにの子供」で第1回幽怪談文学賞短編部門大賞を受賞してデビュー。同作を含む短編集『るんびにの子供』で、日常に潜む怪異から人の心の闇を浮き彫りにする手腕に高い評価を得た(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
❁かな❁
166
レインボーハイツという灰色の古いマンション。そこの住人達はそれぞれ問題を抱えている。民生委員の千加子は気になり度々訪れる。宇佐美さんの作品を読むのは4作目。ずっと陰鬱な空気が漂い、ぞわぞわする感じで怖いけどとても読みやすい。長編だけど1つ1つの事件が丁寧に描かれてまるで連作短編のような雰囲気。DV、ネグレクト、嫁姑問題など日常にある闇を描かれる。レインボーハイツで次々と起きる殺人。一体どういう事なのか誰が悪いのか気になり一気読み。『少女たちは夜歩く』や『角の生えた帽子』の方が好みだけど今作も面白かった。2019/01/15
ゆみねこ
73
レインボーハイツとは名ばかりのくすんだ灰色のマンション。そこには育児放棄された5歳児・瑠衣がいた。地域の民生委員・千加子が不幸な住民たちを救うのかと思いきや…。マンション住人に次々に起こる不幸な事件、さらにそれだけでは終わらない恐ろしい「童話」。ぞわぞわと怖い1冊でした。2017/09/21
きさらぎ
40
短い中にもいろんな人間模様が詰まっていて、ギュッと濃縮されている。単なるホラーじゃない。なぜこのタイトル!?負の感情が詰まっていて、全然「虹色」じゃない。 実は怖いグリム童話になぞらえていて面白かった。2017/12/10
roomy
30
初宇佐美まこと作品。面白かったけど怖かった〜。人間表だけじゃなく裏があるんですよね。ほんと怖いわ。後味はよくないけど、まぁすっきりしたと言ってもいいのかも。他の作品も読んでみたいな。2013/12/01
マサキ@灯れ松明の火
23
「レインボーハイツ」…築35年をこえた、古びたマンション。民生委員の千加子は、足繁くこのマンションに通う。育児放棄されている瑠衣を「外」の世界に救い出す為に…しかし、レインボーハイツに住むもの達に不幸が続く……千加子と瑠衣と続く不幸を繋ぐ1冊の絵本……ジワジワと闇は滲み出し……いつしか、人の心を闇が覆い尽くす…1度…闇に絡め捕られたもの達に逃れるすべはない………2012/11/10