内容説明
ようちゃんは少し変わっている。一人でじいっと何かを見つめているときもあるし、「空の向こうから誰かが見てる」と突然言い出したりもする。亜紗子は、そんなようちゃんがうらやましくてたまらない。少女の痛み、憧れ、狂気、そして……。痛いけどやさしい。かわいいけどこわい。10代の少女たちのヒリヒリとした日常を、繊細で詩的な文章で、鮮やかに切り取った青春小説。世代・性別を越え、多くの読者審査員から、支持を集める。第1回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作。
著者等紹介
前川梓[マエカワアズサ]
1984年兵庫県生まれ。2006年京都精華大学卒業。『ようちゃんの夜』で第1回・ダ・ヴィンチ文学賞大賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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空崎紅茶美術館
12
普通の子がフツーじゃないふりをすることで自分は特別だと優越感を抱くことこそが実は普通なこと。ようちゃんの空想が彼女の現実を蝕みはじめようとする過程が怖い。そんな彼女に憧れて「いつも一緒にいる」べったりな関係を保とうとした亜紗子の気持ちもわかるし、ようちゃんが壊れていくのを見て見ぬふりをしたときの彼女の葛藤も思うことができる。ただ、一人で背負うには重すぎた。春の日、晴れと雨のもと、屋上のフェンス上を歩いていたようちゃんの姿はとても絵になっていたから。それだけの理由では。2011/08/23
Penguin
11
初めて知った作家さん… 私の年齢的なものなのか、いまいち入り込めず心情が解らなかった(-_-;) 今の半分の年だったら、もう少し共感出来るのかも… 2012/10/12
陽@宇宙望遠鏡⭐︎星と宇宙とロケットが好き
10
真っ白いリネンにレェスや刺繍の愛らしい装丁とタイトルに惹かれて手に取る。削ぐわない様な不穏な空気の冒頭分から始まり、鼓動が早くなる。思春期特有のエキセントリックなモノへの憧憬に似た感情や、太宰治の女生徒の様な、少女と大人の間の甘美な小さな薔薇の棘を感じる。少し電波なようちゃんと、語り手アサコの関係を観覧車から眺めるように読了。レースカーテンの表現、ツバメ、夏至の影、友人を表現する時のこういう風に笑うとそれぞれ表現する所が好きだ。クライマックスの緊張感。ラストへの流れは、ただただ嬉しかった。予想が外れ安堵し2013/12/09
yoko**
7
十代の女の子ってフワフワでキラキラでちょっと狂暴で、だけど繊細。 私の十代の時ってどんなだったかな?昔過ぎて忘れちゃった。笑2021/10/02
yukin*
5
ふわふわした雰囲気がすごく好き♡ミニシアター系の作品なので、映像化されたら 是非観たい。ようちゃんの言動に ヒヤヒヤしながらも、ラストは ほわんとあったかい気持ちになって 安心した。2013/08/06