内容説明
『猫』『坊っちゃん』『三四郎』など初期作品の可笑味を分析した草分け的研究書の復活。
目次
漱石文学のユーモアの性格
漱石文学のユーモアの基盤
漱石文学のユーモアの諸相
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shinano
5
漱石作品の前半期特徴である「可笑味」(おかしみ・・・本書での言葉)を真面目にひもといていました。わたしを含めて漱石作品のファンが挙げる理由の第一か第二ですね。俳趣禅味の下地と博学機知に富む漱石だからこその『猫』『坊ちゃん』『三四郎』等での可笑味であり、当時の文筆家たちはこの観点では漱石には脱帽だったはずだと本書を読んで思いました。特に、方言に含まれる「野趣と詩味」の引き出し方や写生文の使用法が漱石ならではと、いままで自分でなんとなく感じていたことの理由がはっきりわかったのでした。2010/05/13