出版社内容情報
7か月間にわたるこの手記は、唐突に始まり、唐突に終わっている。いかなる要請によって自己の体験を記述し始めたのか、クリシュナムルティ自身にも説明することはできない----だが、執拗に繰り返される環境描写を通じて、この間の彼の透徹した知覚と意識状態が尋常一様でないことを、私たちはうかがい知ることができる。クリシュナムルティの教えの源泉に触れられる書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kanaoka 57
4
K氏の肉体的現象、内的プロセスの進行に立ち会うことができる。 心も身体も反応する機械である。心が過去の記憶や慣習に縛られている状態、浅薄な物事に安心を求め、すがりつき、占められているとき、生は、反応に従う服従でしかなく、鈍感で怠惰な生である。過去と未知なるものとは決して出会う事はできず、未知なるもの、存在の深淵、広大な広がりを覗き込むには、浅薄なものは、心の場所を譲らなければならない。 動機と自己の反応を冷徹に凝視し、自己という観察者に囚われることなく空をもって鋭敏さを保つとき、未知なるものが顕れる。2016/12/11