内容説明
不況下の昭和初期、海外雄飛の夢を抱いてオランダ領インドネシアに渡った市来龍夫は「一等国民意識」に染まった典型的な日本青年だったが、植民地の底辺の生活に心の安らぎを得るうちに、次第にインドネシア民族運動に共感を覚えていく。彼にとって、「大東亜戦争」と日本軍政はインドネシア独立を支援する存在であり、軍政に参加することは無上の喜びであった。しかし、日本のホンネは資源獲得にあり、独立の約束はウソだった。そのことに気づいた市来は祖国に裏切られた思いに苛まれる。日本の敗戦後、市来はアブドゥル・ラフマンと名を変えてインドネシア独立軍に身を投じ、オランダ軍との戦闘の中で、壮絶な最期を迎える。
目次
第1章 彷徨の少年時代(丙午の生まれ;カトリック入信 ほか)
第2章 渡南への道(渡南の契機;からゆきさん ほか)
第3章 「国策」と「アジア解放」のはざまで(祖国日本の動向への関心;一九三〇年代の親日感情 ほか)
第4章 日本軍政をみつめて(「大東亜戦争」勃発と市来龍夫;日本政府・軍部の基本的見解 ほか)
第5章 アブドゥル・ラフマン・イチキの流転と帰結(敗戦と義勇軍解散;八月一五日以後の市来龍夫 ほか)
著者等紹介
後藤乾一[ゴトウケンイチ]
1943年東京生まれ、65年早稲田大学政治経済学部卒、1973‐2013年、早稲田大学にて教育・研究に従事。現在同大学名誉教授・名誉評議員。関心分野:「アジアの中の近代日本」の通史的・学際的研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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