目次
第1部 議論の背景(フェアトレード運動とは何か;焼畑からコーヒーへ―複合的生業形態の変遷と持続;3つの生産協同組合)
第2部 フェアトレードの直接的影響(マークテーン村のフェアトレード生産者の家計への影響;マークモー村のフェアトレード生産者の家計への影響;家計戦略から見るフェアトレードの直接的影響の考察)
第3部 フェアトレードの間接的影響(村落と生産協同組合;仲買人と生産協同組合;JCFCの解体へ)
著者等紹介
箕曲在弘[ミノオアリヒロ]
1977年東京都生まれ。2013年早稲田大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。現在東洋大学社会学部助教。専攻は文化人類学、開発人類学。博士論文『フェアトレードの生産者をめぐる人類学的研究―ラオス南部ボーラヴェーン高原のコーヒー栽培農村の事例から』により第12回アジア太平洋研究賞(井植記念賞)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
20
コメ→コーヒーへ転換してよかったか、どうか? 換金作物、手間がかからず、買取価格が高い。売る側の論理。買う側の論理は安全安心。ウィンウィンの公平感が前提となろう。200頁によると、農民の報酬はまだ十分な額ではないという調査結果が出た模様。如何にしてコーヒー豆からの収入増に結びつけられるか。生産者はコロコロと買取価格を変えるのに対し、協同組合は予め買取価格の提示、その額を必ず払ってくれる信頼がある(251頁)。この信頼感の違いは大きい。 2015/04/11
なーちゃま
5
箕曲先生すごすぎ…。ここまでの書籍を書くのにいかにラポールを築き、厚い記述を行い分析をしたのかが伝わってきた。 フェアトレードは援助漬けとする単なる国際援助ではなく、あくまでも市場の中で公正に透明性を持ってトレードすることで南のエンパワーメントを行う取組である。画期的で注目していたが故に、仲買人との互恵的なやり取りの側面や生活協同組合の不透明性とガバナンス不足ゆえに末端まで広く援助が届いていないことに失望してしまった。しかしこうした問題から目をそらすのではなく、評価をして着実に向上させることが必要だ。2020/05/17
なーちゃま
3
初めて読んだときはフェアトレードへの幻想をバキバキに砕かれたけれど、もう幻想は既に遠く彼方へといってしまった今読むと、むしろフェアトレードへの希望が湧いてくるから不思議である。理想を掲げた活動が全て上手くいっていたらこの世に社会問題は存在しない。むしろ社会問題の解決は新たな社会問題の生起の契機ですらある。だからこそ、こうして現地に赴いて何が起こっているのかを教えてくれる本を読み、どの要素をつなげれば活動がうまくいくのか考えていくことができる。フェアトレードには希望がいっぱいだと逆に感じた。2023/02/16