出版社内容情報
.
真造圭伍(『ひらやすみ』)
「かわじろうさんの漫画はデビュー作からいいなと思って読んでいました。
『こうありたい』そんな憧れにも似た感情が沸き上がる、懐かしくも新しい漫画達です。」
掲載するたび、大反響。日常の中でふと出会う、ずっと覚えていたい気持ち。
小学館 第93回 新人コミック大賞<青年部門>大賞受賞の新星、初作品集。
ーーーーー
憂鬱だった学校が、
愛妻が亡くなり孤独な日々が、
会社と家を往復するだけの生活が、
雨上がりの空みたいに輝き出す。
人生の特別な瞬間が詰まった、短編全10作品を収録。
【収録作品】
♯1「ミニチュアとベンチ」
♯2「下戸のソウルフード」
♯3「フォトグラファー」
♯4「正三と九太郎」
♯5「キツネとターキー」
♯6「下校」
♯7「吉野山の話」
♯8「よりみち」
♯9「半魚人の頃」
♯10「かえちゃんの新しい友達」
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
141
人生は出会いと別れの連続。学校生活に馴染めなかった頃の秘密、母とさようならをした夜のドライブ、異国の地でもう外出できないと察した夏の日の希望。不思議な余韻を残す漫画短編集。残りの人生を晴れやかにする空飛ぶ仲間の存在、凍える夜をとかしたぬくもり。マンネリからの脱却、閉ざした気持ちを解す友の声。作者かわじろうさんの視点がどれも切なくて心の隙間を埋めてくれる。忘れてしまうほどの小さな偶然が重なり落ち込んでいるときに手を差し伸べてくれる。互いを支えるあたたかさを繊細に描いている。相撲取り吉野山のエピソードも素敵。2025/09/09
s_s
6
言葉にしがたいくらいに大切な、「あたらしいともだち」との関係の始まりを描いた短編集。激変とまでは言わないが、日常生活に彩りをもたらして気持ちを前向きにさせるような作品ばかり。底抜けに明るいわけでも、涙を流させるような悲壮感が漂うわけでもなく、じんわりと心を温めてくれるような優しさが詰まっている。「特別な瞬間」の切り取り方に秀でている印象で、素朴な作風ではあるのだけれど、確かな魅力がある。褪色した世界を再び輝かせるような、「今」にこそ必要なマンガだと感じた。伸びしろしかない作者の今後が楽しみになった。2025/09/17
mujha
3
どの話も余韻が良くて、なにかいいものを貰った気持ちになった。先生の傘、九ちゃんのおしり、漫画の1ページ、細かな所まで楽しい。2025/09/29
おかき
3
やさしくてなにげない短編集。心地よい時間が流れていて素敵だった。2025/09/21
遠い日
3
心の中の柔らかい部分をそぉっと掴まれたような気がしました。人というものは不思議なもので、心に少しでも動きがある限り、いつかどこかで何かと出会うようにできている。それが生きているということの奇跡。小さな奇跡が連なって、毎日ができている。ひとりでいいと思っていても、誰に構われなくてもいいと思っていても、あなたをみている人はちゃんといるし、ただいっしょにいたいと思ったりしている。 新しい友だちは友だちの形をしていなくてもいい。自分の中の気づきが新しい局面を連れてくるから。かわじろうさん、作品をもっと読みたい。2025/09/06